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◇映画「レベルポイント」サウンドトラック(1978年)2012年03月14日 05時05分09秒

「レベルポイント」サウンドトラック 1978年

80年代はロックやポップスが映画のサウンドトラックに使用され、それがヒットするというのが定石な時代だった。映画用に作曲された曲ではなく、既存の曲を映画のイメージにあわせて使用するという時代だった。

レベルポイント(監督:ジョナサン・カプラン 1978年 アメリカ 原題「Over The Edge」」という映画のサウンドトラックを私は持っているが、実はこの映画は観たことがない。
当時、帯広では上映されなかったし、ネットで見てみると各学校で視聴禁止映画に指定されていたという話も聞く。
これまで見たことがなかったので、先日別な記事を書いたときに調べてみたのだが、マット・ディロンのデビュー作だったらしい。
内容としては、『親の束縛と古い価値観に反抗するティーンの辛口青春ドラマ』とあるので、この当時よくあったアメリカ映画らしい内容らしい。
そして、NirvanaのKurt Cobainが映画に影響を受け、「Smells Like Teen Spirit」のPVの元ネタになったというのも、ネットで初めて知った。

この映画のサウンド・トラックは、当時の流行のロックの曲がふんだんに使用されていて、80年代のロックと映画音楽の流行のさきがけだったのではないかと思う。
収録曲は、

Side one
Surrender -- Cheap Trick
My Best Friend's Girl -- The Cars
You Really Got Me -- Van Halen
Speak Now or Forever Hold Your Peace -- Cheap Trick
Come On (Part 1) -- Jimi Hendrix

Side two
Just What I Needed -- The Cars
Hello There -- Cheap Trick
Teenage Lobotomy -- Ramones
Downed -- Cheap Trick
All That You Dream -- Little Feat
Ooh Child -- Valerie Carter
(Wikipedia「Over the Edge (film)」より抜粋)

Jimi HendrixやLittle Feat、Ramonesなど、すでに人気があったものの中で、当時まだ新人といえるVan Halen、The Cars、そしてCheap Trickの曲がたくさん使用されている。
今聞けばどれも名曲揃いなのだが、当時の私の中に残ったのは新人の3バンドだった。

レコードを買ったきっかけは、ラジオの特集だったと思う。
まだ新人だったVan Halenの収録曲「You Really Got Me」がThe Kinksの曲だと知ったのは、ずいぶん後になってのことだったが、最初はこの曲が一番好きだった。

その後、ラジオを録音したテープを何度も聴くうちに、Cheap Trickにはまっていった。
最初に聞いたのは「Hello There」だったが、この短い曲の中にぎゅうぎゅうにつまった疾走感は、当時小学生女子だった私をぶち抜くには十分だった。
一番のお気に入りは「Surrender」。
このレコードには和訳された歌詞がついており、「Surrender」の歌詞にある“麻薬”だとか、“戦争”だとか、“パパとママがKISSでノリノリ”なんてことは、自分の日常にはまず存在しないことだったから、この映画の内容以前にこのような雰囲気がアメリカっぽいと勝手に想像していた。
しかも彼らは、「ロックバンドには美形もいて、しかもテクニックもあり、その演奏も楽しく魅せてくれるものなのだ」と認識させてくれるに足りるルックスとテクニックを有していた。そのバランスが絶妙だったのだ。

中学に入り、ロック雑誌を買い、シングルを可能な限り買い集め、出かける時は常にラジカセデッキ(もちろん、アナログ)を持ち歩き、Cheap Trickにはまっていった。
中学1年生のときに小学6年生のクラス会として、自転車で川にキャンプに行った。私はその時にもラジカセを持ち込み、自転車に乗っている間もイヤホン(もちろん、片耳のアナログのやつ)をつけてずっとCheap Trickを聞いていた。
小学生の頃は、洋楽を聞く人などクラスに誰もおらず、友達と音楽の話をすることもほとんどなかったのだが、中学に入ったことで洋楽好きの男子がキャンプの最中に話しかけてきて、初めて洋楽の話で盛り上がりとても楽しかったことを覚えている。

この印象が強烈だったせいか、私にとってはCheap Trickといえば、常に中学1年の夏の思い出とつながる。
レベルポイントの世界とは程遠い平和な日常だが、私にとっては忘れられない中学1年生の思い出なのだ。

レベルポイントのサントラの中で、今から思うと異色だと思えるのは、The Carsの曲だ。
The Carsは、今でこそ80年代のアメリカン・ポップスを象徴するようなイメージがあるが、当時はまだエレクトリックポップな曲とそうじゃない曲とが入り混じり、彼らのオリジナルアルバムを聞いてみると、一曲一曲で非常にイメージが違う。
ヴォーカルもギターのRic OcasekとベースのBenjamin Orrが相互に受け持っているのが当時は理解できず、The Carsの曲を聴くたびにイメージが分散されてしまい、なぜこんなに聞くたびにイメージが違うのだろうと不思議に思っていた。
このサウンドトラックで使用されている2曲は、どちらもダンスミュージックとしては秀悦なものだと思うのだが、やはり他の曲と比較すると非常に(当時として)現代的であり、異色な存在であると思える。


それにしても、いまや、このアルバムに収められているバンドのほとんどが、一線で活躍したバンドだ。
当時新人だった3バンドも、Benjamin Orrが2000年に亡くなったThe Carsは、彼を除くオリジナルメンバーで2010年に再結成され、Van HalenもオリジナルメンバーのヴォーカルDavid Lee Rothが復活。
Cheap Trickは一時ベースのTomが抜けたものの、早い段階で復活を果たし、今でもオリジナルメンバーで精力的に活動を続けている。
オリジナルメンバーがいずれかで一度抜けてしまったけれど、現段階で可能な限りのオリジナルメンバーが復活している点でも同じなのは、ちょっと面白い。

80年代におけるロックの映画音楽進出前夜の、1978年というアメリカンロックの成熟期に、このようなサウンドトラックが存在したのは奇跡にも近いものだと思うが、このサウンドトラックCD化されていないようで、現在は入手が難しい様子。

我が家にはまだレコードプレイヤーもあるし、やろうと思えばレコードからデータ化することも可能なのだが、データ化したいレコードは山のようにあり、なかなか手が回らない。
そのうちデータ化して、改めて聞きなおしたい一枚だ。

2012年03月14日改訂

コメント

_ TS ― 2012年03月14日 07時54分38秒

データー化、よろしくお願いします(^^)

_ makura ― 2012年03月14日 18時46分19秒

>TSさん

了解しました。

_ over the edge ― 2012年05月20日 17時40分13秒

van hahen 、 cheap trick 、 the carの3バンドについては監督(ERなんかも監督しています)が出演している子どもたちと話をしているときに、子どもたちが「キッスなんか古いよ、今はこれだよ」と言って持ち出してきたバンドだったらしいです。子どもたちにとっては旬なバンドだったのでしょう。
また映画の中でも「キッス?あんなガキ相手のバンド」のようなセリフがあります。

私も69年生まれですけど、小学生のときTVで数度この映画を見て(たしか12チャンの昼間)からチープトリック・ヴァンヘイレンにハマりました。洋楽の入門はモンキーズでしたが。

私もこのサントラを当時中レコード屋で買いましたが、今ではどこにあるのか、売ってしまったのか、分かりません。

映画は数年前、DVD化されてます。是非見てほしい映画です。70年代後半~80年代前半はこのような青春映画がたくさん作られました。結構DVD化されてますよ。

_ makura ― 2012年05月20日 18時49分17秒

over the edgeさん、コメントありがとうございます。

“キッスが古い”というくだりはラジオで聞いた記憶がありますが、監督と出演している子どもたちとの間で、そのようなやり取りがあったのですね。その中にはマット・ディロンもいたのだろうなと思うと、彼はどれがお気に入りだったのか。
なかなか、想像がかきたてられるエピソードですね。

東京12チャンネルだと、当時は北海道での放送がほとんどないので、やっぱり残念ながら観ることはかなわかなったと思います。TBS、フジ、日テレでの放送でも、田舎では100%の番組を観ることは叶わなかったし、しかも週間遅れだったし、映画などは特にはしょられる番組が多かったですから。
このあたり、当時の田舎と都会の差を痛感させられます。

上京後も、たまに思い出してレンタルで借りようかと思ったりしたこともあるのですが、でもこの映画、やっぱり観るなら10代のうちに観ておきたかったと思うだろうなと、ずっと二の足踏んでいます。
10代の頃に観るのと、すっかり大人になってから観るのとでは、やっぱり感じ方が違うだろうな、観て残念に思うのはいやだなと、思ってしまうのです。

でも、このサントラをもう一度聞いたら、映画も観てみたいという衝動にかられるでしょうね。その時は、迷わずツタヤに走ることにします。

_ asunaro ― 2013年01月08日 23時46分48秒

映画は、ロードショウで観ました。
チープトリックもその頃、
横浜で観ました。
青春の1ページです。
なんか、
感動しました。
生きててよかった。

_ mkaura ― 2013年01月09日 16時34分10秒

asunaroさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
リアルタイムでこの映画を観ることができたというのは、とてもうらやましいです。
CheapTrickもご覧になったのですね。いいなあ。

この記事を書いた後、レコードを聞き返してみたのですが、あの頃独特の疾走感というか、埃臭い空気感というのがよみがえってきて、なんだかすごく懐かしかったです。
あの頃の時代を思い出すだけで、なんだか今でもドキドキしてしまいます。

_ マダムX ― 2013年04月24日 17時16分12秒

はじめまして。レベルポイントのサントラを調べていてたどり着いたカーズファンです♪ カーズのコメントにはひざを打ちました♪ そうなんですよねーヴォーカルにベンとリックがいるってことがカーズの面白いところなのだと思います。拙ブログでこちらの記事をリンクさせていただいてもいいでしょうか?

_ makura ― 2013年04月26日 10時41分59秒

マダムXさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
お返事遅くなってごめんなさい。
小学生の頃は、バンドのパートは完全な役割分担がされているものだと勝手に思っていたので、リックがメインヴォーカルをとる曲もあるなんて思っていなかったんですよね(^^;)。
今ならネットで動画で見られますが、当時は動画を見るなんて夢のようでしたし。

>拙ブログでこちらの記事をリンクさせていただいてもいいでしょうか?

はい、ありがとうございます。光栄です。
よろしければ、後でリンクを教えていただければ幸いです。
よろしくお願いします。

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