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◇ソチオリンピック フィギュアスートエキシビジョンの銅メダリスト デニス・テンについて2014年02月24日 16時50分34秒

Denis Ten Sochi Olympic figure skating bronze for Kazakhstan)
Denis TEN (SochiOlympic figure skating bronze for Kazakhstan)

動画:gorin.jp
ソチオリンピック フィギュアスケートエキシビジョン
デニス・テン『カザフスタンの英雄』


バンクーバーオリンピックのときに、「◇バンクーバーオリンピック 男子フィギュアスケートを見て思ったどうでもいいこと」という記事を書いた。
ここで私は、当時16歳のカザフスタンのデニス・テン選手について触れ、「是非カザフスタンの民族楽器ドンブラの演奏曲で演技してもらいたい」と書いたのだが、その希望は彼の銅メダル受賞と共に、エキシビジョンで叶えられた。

このときの曲は、カザフスタンの若い作曲家グループ「トゥーラン(NHKのアナウンスでは、「ツーラン」と聞こえたが、詳細は不明)」の『カザフスタンの英雄』。
最初に擦弦楽器の演奏から入り、その後風の音がして、弦楽器の演奏が始まる。
ネット上では二胡だ、馬頭琴だというコメントが多かったが、カザフの音楽であることを強調しているのであれば、楽器はカザフスタンを象徴する楽器。冒頭はカザフの二弦の擦弦楽器コブズ。弦楽器は二弦のドンブラだろう。


コブズ
コブズ(私家版 楽器辞典http://saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/gakki_main.html

ドンブラ
ドンブラ(私家版 楽器辞典http://saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/gakki_main.html


カザフ族はもともとトルコ系民族らしいが、カザフスタンはシルクロードのほぼ中央に位置し、昔から東西の文化が交流する場所でもあり、過去にもさまざまな国に統治されてきた歴史を持つため、さまざまな文化の影響が見られる。
トルコ語で「デニス(デニズ)」は海を意味する言葉。国土のほとんどが海に面していないカザフスタンで、海は特別な言葉だ。

今回デニス・テンが演技したこの曲も、トルコ、アラブ、スラブ、モンゴル、中国とさまざまな土地の印象がちりばめられていて、非常にカザフスタン的な曲だと感じた。
また振付けにおいても、カザフスタンの文化の一つでもある鷹狩りや、砂漠の風をイメージしたり、遊牧民族や馬などを彷彿させるようなマイムがふんだんにちりばめられており、カザフスタンの文化を表現するような作りになっていて、非常に素晴らしかった。

何より、デニス・テンはカザフの文様を胸に掲げ、カザフスタンの民族衣装と文様を施した衣装でリンクに登場したのだ。
彼はカザフスタンの英雄であり、カザフスタンの代表としてあの場にいたのだと、はっきり意思表示し、それはとても感動的なものだった。

ソ連時代、広大なカザフの土地では、宇宙基地が作られ、砂漠では水爆の実験も行われた。この水爆実験の影響は、今もこの地域に影を落としているし、宇宙基地は今でもロシアが租借している。
ソ連統治時代には、民族楽器や文化はソ連に反する文化として排除された。
それはカザフスタンだけではなく、ソ連の支配下に置かれていた多くの国がそのような状況下にあり、多くの文化は忘れられ廃れていった。
カザフのドンブラやゴブズも一時は継承するものもなく失われていく運命を背負っていたが、ソ連崩壊後に自らの文化を取り戻そうと、盛んに演奏されるようになったものだ。

ソ連から独立し、自分たちはカザフであるというアピールを、ロシア開催のオリンピックで披露するというのは、カザフの英雄としてはとても重要な責任であり、自らのアイデンティティーでもあったのではないかと感じる。
一部報道では、デニス・テンが韓国系であるとも報じられたが、自らの出自よりもカザフスタンの代表であることが重要だったのではないかと、彼の演技を見て思った。

オリンピック開催中に、ウクライナで内戦が勃発し、旧ソ連の影響は未だに独立国家に根深く残っている。
今回のソチオリンピックは、ロシアが他民族国家であるということを意識した作りであるとの報道があったが、個人的には開会式も閉会式も、それを感じることはできなかった。
スタッフの衣装や、会場の壁面を彩った様々な文様は、ロシアのそれぞれの民族の文様をあしらったものであるとのことだったが、それを全面にアピールするようなものはなかったように思う。
そんな中で、旧ソ連の国から様々な想いを胸に抱いて参加した選手が多く活躍した今回のオリンピック。
旧ソ連の国の中央アジアの代表として、デニス・テンがメダルをとり、世界中の人が楽しむエキシビジョンで民族を象徴する演技を披露したことは、非常に意味のあることだと強く感じたのだった。

◇ソチオリンピック フィギュアスケートを見て思ったどうでもいいこと2014年02月24日 19時38分56秒

ソチ五輪 女子フィギュアフリー 浅田真央
ソチオリンピック 女子フィギュアフリー 浅田真央
出自:公益財団法人日本オリンピック委員会
http://www.joc.or.jp/photo/photo_gallary_detail.html?gal_id=56&seq=7



バンクーバーのときは男子について書いたが、今年は女子の方がどうでもいいことをたくさん感じた。
今年の五輪フィギュアは、世代交代の会。これまで活躍し、注目されてきた多くの選手が引退を表明し集大成を競うほか、若い選手の実力を試す場ともなっていたように感じる。
とりわけ女子はそれが顕著で、ロシアの15歳ユリア・リプニツカヤに注目が集まった。
団体戦では失敗したもののチームの金メダルに貢献し、白い肌が美しいロシア美人、それに加えての加熱しすぎるメディアの取材を牽制するビッグマウスぶりにメディアの過熱は更にに高まった。
しかし、個人戦で実際にメダルを獲得したのは、トルコ風な顔立ちが印象的なリプニツカヤより二歳年上のアデリナ・ソトニコワだった。

ソトニコワがショートプログラムで二位になり、ロシアの期待が一気に彼女に移動したとき、なんとなくトリノオリンピックの荒川静香と安藤美姫を思い出した。
2006年のトリノオリンピックで、メダルの期待は当時18歳だった安藤美姫にメディアの注目が集まったが、実際に日本初のフィギュアスケート金メダルに輝いたのは荒川静香だった。
この時荒川は、当初まったくメディアがノーチェック状態だったことが寂しくなかったかとの質問に、「メディアの注目が若いかわいこちゃんに集まればいいと思っていました。それだけ私は演技に集中できる」と後日テレビで言っていたのを思い出し、メディアの猛攻がいかに選手の重荷になっているのかということを改めて感じたのだった。

テレビを見ていて、メディアのお仕着せストーリーにも辟易した。
浅田真央vsキム・ヨナにとどまらず、ショートプログラムを失敗しつつも、フリーで巻き返した浅田真央に対するお涙頂戴ストーリーは余計なお世話以上のものだった。
そんなことしなくても、浅田真央のフリーの演技は感動的だった。にも関わらず、母親が亡くなったことへの関連付けなどで更に感動を煽ろうとするメディアの不必要な情報は、かえって浅田真央の真摯な演技に対して失礼なものだと感じた。

個人的には、イタリアのカロリーナ・コストナーの演技が感動的だった。
実際は彼女が金メダルだと思ったが、政治的なことなどいろいろあったのかなとそこまで勘ぐらなければならないほど、情報に汚染されてしまっていてなんとなく悲しかった。

それはそうと、今回も競技にはまったく関係ないところで気になったところを書いておこうと思う。

●女子金メダリスト アデリナ・ソトニコワのわきの下
Adelina Sotnikova
ソチ冬季五輪、フィギュアスケート女子シングル・フリースケーティング(FS)。
表彰式で歓喜するアデリナ・ソトニコワ
リンク元:http://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2014022100039_3
(出自:Adelina Sotnikova、2014年2月20日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News
記事「ソトニコワが女子シングルで金メダル、ソチ五輪」より


最初に彼女が両腕をあげたとき、わきの下に三本かみそり跡のようなキズが真っ赤に染まっていて、非常に痛々しかった。
次の日に見たら絆創膏を貼っていたので、激しい運動のため出血したのかもしれないなと思った。
エキシビジョンのときは袖のある衣装でちょっとほっとしたのだった。

30年くらい前までは、まだわきの下を剃るのが世界的なものではなく、ドイツの選手などはわきの下を剃らずに袖なしの衣装を着る人もいた。
わきの下を剃るのが国際的になって、永久脱毛しない人は痛々しい場面に遭遇することもしばしばだが、ソトニコワのは本当に痛そうだった。

●カロリーナ・コストナーのエキシビジョンの衣装
Carolina KOSTNER Sochi Olympic figure skating bronze for Italy
Carolina KOSTNER (Sochi Olympic figure skating bronze for Italy)

エキシビジョンでは、コストナーの演技を非常に楽しみにしていただけに、この衣装はものすごくびっくりしすぎて、せっかくの素晴らしい演技に集中できなかった。
青いブラとスカートの上に、ストッキング生地の上にたくさんのラインストーンのちりばめられた衣装だったが、肌色ストッキング+ラインストーンの衣装の延長が、タイツのストッキングだったのか、はたまたアンダーにあたる場所には透明のベルトのようなものが見えたので、それで上衣のストッキングを固定する仕様になっていたのかわからないが、どうもパンツらしきものが見当らない。
股のところがやたらとキラキラ光っているので、透明なTバックっぽいものなのかもしれないが、それが余計エロチックに見えてしまった。

使用曲はアラビアンナイトの語り手『シェヘラザード』。
元々、王の夜の相手として語られた千夜一夜の物語なので、エロチシズムは不可欠だろうと思うが、下半身が露出する演技の多いフィギュアの衣装としては、ちょっとショッキングだと思ってしまった。

こう思ったのは私だけではないようで、エキシビジョンの放映のあった日のツイッターはコストナーの衣装が話題になっていたらしい。

動画:gorin.jp
ソチオリンピック フィギュアスケートエキシビジョン
カロリーナ・コストナー『シェヘラザードより』(ニコライ・リムスキー=コルサコフ)

●フランス マエ・メイテ選手
今回のオリンピックでは、黒人選手の参加が目立っていたように思う。
メダルを受賞するなどの目だった活躍はなかったが、演技は欧米系やアジア系にないものが見えて、黒人特有の優雅さを堪能できる選手が育ってきているように感じる。
その中で、フランスのマエ・メイテ選手のショートプログラムの演技は、すごく感動した。
曲はプリンスの曲だったが、リズム感や音のつかみ方が非常にかっこよくかった。もっとアップテンポの曲の演技も見てみたいと思った。

フィギュアスケートは、美しさを競うものなので、これまでどうしても白人主流の競技だと思われていたが、それぞれの人種にはそれぞれの美しさが存在すると思う。
フィギュアスケート自体、国としても個人としてもお金のかかるスポーツなので、国によっては援助が行き届かないところもあるのかもしれないが、もっとさまざまな人種が参加できる競技に育ってもらえると、もっと面白い競技になっていくのではないかと思った。

●選手の年齢的な制限の排除は不可能なのか
今回のオリンピックで、スキージャンプの葛西紀明選手が、41歳での最高齢での出場が話題になった。
フィギュアでも、ロシアのプルシェンコが31歳、日本の鈴木明子が28歳で最高齢と言われた。
しかし、ペアの中には30代後半の選手も何名かいて、体力的なことさえクリアできれば、もっと高齢でも競技に参加できるのではないかと思ったりもする。

ジュニアからシニアになるのに15歳という制限があるのは納得いくが、上は自分の身体と相談としてということなのだろうけど、プルシェンコだって腰の故障さえなければずっと現役を続けていきたいと思っていたような節がある。
浅田も鈴木も高橋も、実際本当に引退したいと思って引退するのだろうか。
もう年だし、いい年して競技するのもどうかと思うし、アマチュアはお金がかかるし、プロとして将来を...というのが本音なんじゃないかと思ったりするのだ。
なぜ、年をとったからといって選手を引退しなければならないのか、それだけが不思議に思える。
夏のオリンピックでは、野球やバスケットのように、プロ選手でも参加できる規定があるのだから、プロでも参加できるように規約を変更すればいいし、年齢的な枠が必要なのであればシニア競技部門も作ればいいのではないかと思うのは、私だけだろうか。

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何はともあれ、今年の冬のオリンピックは終わってしまった。
マスコットの熊とウサギとユキヒョウの名前もわからなかったし、途中でロシアがらみで内戦は起きるし、ロシア内部でもオリンピックボイコットを訴える動きがあったりして、表に見えないところで大変なオリンピックだったと思う。
ただ、会場内で大きなテロなどがなかっただけでも、無事に終わって本当によかった。

次回の冬は韓国での大会だか、それまでに韓国と日本との関係がもう少しマシになっているといいと思う。



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