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◇観劇のマナーを守れない人は劇場に入る資格はないと感じる2017年04月29日 02時23分33秒

ここ数年、演劇や映画を観る機会が増えている。
隣り町の小さな映画館で、昔の観たかった映画が続けざまに上映されたり、ここ一年ほど地元の演劇鑑賞会に参加しているからだ。

演劇鑑賞会は演劇を観続けることが目的で、自分で観る演目はあらかじめ前の年に決められているので、自由な演目を観ることはできない。
しかし、大きな劇場で公演することがだんだんと難しくなってきている昨今、若い演劇人を育てる環境も厳しく、こういう地方の演劇鑑賞会と相互に協力しながら劇団が育っていくことを参加して知った。
個人的には前衛演劇の方が好みだったりするのだが、新劇も改めて観ると面白いものも多い。毛嫌いしていたミュージカルやオペラも、悪くないと思えてしまう。
こういった鑑賞会に参加することで、今まで知らなかった心境地が開拓できるのも面白いと思えるのだ。

好きな演目かどうかを度外視して、純粋に演劇を観続けるという会に参加する人というのは、当然演劇が好きな人なのだろうと私は思っていた。
そういう人は、演劇という文化を大切にしたい人なのだと思いたい。

それなのに、観劇中に必ず光るブルーライト、そして携帯電話の呼び出し音。
観劇するのに、何故そんなものが必要なのか。
最近はモバイル機器を時計がわりにしている人も多いが、時間もすでに一年も前から決められているのだし、観劇中に時間を気にしなければならない理由もわからない。
そういうマナーの欠如が、演劇をだいなしにしていることが理解できないのなら、それは演劇に対する冒涜であると思う。
そういう人には演劇を観てほしくないとさえ思ってしまう。

去年は最悪な人が隣に座ったことがあった。
二幕目が始まってから遅れて入場したその人は、俯瞰で舞台全体を観たくて後ろの席に座っていた私の横の席に座った。
走ってきたのか息が切れていて、フーフーいっている(これはまあ、仕方がないのかも)。
スーパーの袋をガサガサならしながら、ペットボトルの水を探す音がうるさい。
私は一幕から観ているので冷房の入った会場が寒いのに、扇子をバタバタさせて隣の私まで冷やしてくれる。
あげくに携帯が鳴ると、そのまま出て話し出す始末。
「いい加減にしてください」と思わず声が出てしまった。

この間も友人と映画を観ていたら、友人の隣の人がスマホを取り出して何かを調べている。
画面はLINEの画面だったりする。
友人の隣の隣なのに、目の横がいやにまぶしくて気になって仕方がない。
私の隣の人は、映画の後半の半分たっぷりしくしく泣いて涙と鼻水の洪水と闘っているし(いや、それは仕方がない)、後ろの席の人はいつまでもポップコーンをガサガサしているし、まったく興ざめしっぱなしだった。

演劇鑑賞会のお題目としては、演劇を通じて大切なことを未来につなげていきたいという想いがあるようだが、参加する人がマナーを守るという最低限のことが守れない人が一人でもいる限り、舞台で大切なことを謳っていても意味は半減してしまうということを知るべきだと思う。
それはたとえお金を払って観ている客だとしても、舞台の意味を台無しにする権利などひとつもないのだから。



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