◇トルコ旅行記 〜6月4日 客引きにあとをつけられる〜 ― 2007年07月15日 10時45分40秒
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ホテルの部屋のバルコニーに来たすずめ。日本のすずめとちょっと違う感じ。 |
■洗濯をする
前の夜はちょっと曇空で月もおぼろで天気が心配されたが、4日目の朝も良い天気だった。前日Yahooの天気予報で確認したときは曇りのち雨の予報だったが、朝には雨の予報は解除されていた。朝7時半に目覚め朝食をとりに食堂へ行くと、エレベーターの外ドアを前日の夜に話し掛けてきた彼が開けてくれ、私が旦那と二人でいるのを見てちょっと苦笑いをしていた。
いつもの食事をすませ、前の日に買ったプディングを食べるためにチャイを部屋に運んで戻った。バルコニーに出て景色を眺めながらプディングを食べる。プディングは冷蔵庫で冷やしておいた。オスマンさん達にはカスタードプディングを持っていったが、私たちにはライスプディングとカスタードライスプディングを買ったのだ。甘さ控えめでとても美味。
プディングを食べながらこの日何をするかを話しているうちに、来る前にこちらの気候があまりよくわからなかったので、持ってきた服が足りないことが判明する。天気もいいことだし、思い切って洗濯をすることにした。
洗面台は洗濯をするには適した大きさで、持参した洗濯石鹸で下着や寝巻き、シャツなどをごしごし洗い、よくすすいでしぼった後バスタオルで巻いてさらにきつくしぼる。ここのホテルは経費削減のため毎日バスタオルを替えない。替えてほしいときは床に置いておくと替えてくれるが、できるだけ長く使ってほしいと注意書きがある。バスタオルも3日目でそろそろ替えてほしいので、ちょうどよかったのだ。
下着類はバスルームのタオル掛けにかけ、大きな衣類は外に干すことにした。物干しロープがバルコニーの幅に足りないので、椅子を重ねて固定してロープを張ることにした。外から見えないように下の方に干すのにちょっと苦労する。
外で洗濯物を干していると、すずめがバルコニーに遊びにきている。ふと下を見ると、線路を貨物車で戦車を運搬しているのが見えた。
洗濯をすませ、その日はエジプトバザールとガラタ橋に行くことにした。
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前日の夜の夜景。 曇り空で月に雲がかかり赤くぼやけている。 |
6月4日の朝の風景。 海にもやがかかっているが、良い天気。 |
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カスタードライスプディングと食堂から勝手に持ってきたチャイ。 |
この日はいつも水を買う商店のあるレストラン街の通りからではなく、一本海沿いの道を歩いてみることにする。最初の日にレストラン街で見かけた赤い魚の看板の店がそこの通りにあることを発見し、あの日さんざん探し回ったのにこんなところにあったのかと驚く。その様子を見ていたトルコ人の老人が私たちを見てちょっと笑って通り過ぎていった。その老人のシャツが世界地図の模様で、すごくおしゃれだったのが印象的。
オスマンさんの店に行くと隣にエスニック風のシャツが並んでいるので、オスマンさんに朝の挨拶をした後「あの商品はオスマンさんの店のものか?」と聞くと、彼の店のものでもないのにわざわざ品物を選んでくれた。オスマンさんが隣の店にいるのを見て彼のお兄さんが戻ってくるように声をかけたので、「店に戻るからゆっくり見てって」とまるで自分の店のよう。薄手のシャツを買いたかったが、旦那が厚手の方がいいというのでそれを購入する。店員が19ドルと米ドルで値段の説明をするので、二つ買うからと言って35ドルに値引きしてもらう。トルコ製で生地はけっこうしっかりしているので、日本で買うと一枚4000円くらいはしそうだが、安いんだか高いんだか判らない。
オスマンさんに「今日はエジプトバザールにチャイポットを買いに行く」というと、「エジプトバザールの周辺の店の方が安いよ」と教えてくれる。彼は本当に親切だ。
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アヤソフィアとプルーモスクの間にある噴水のある公園から撮影したブルーモスク。 |
■客引きにあとをつけられる
オスマンさんと別れ、フォーシーズンズホテルのわきにある商店で水を買う。通り向かいの旅行会社の人がそこにいて「どこから来たか」と聞かれたので「日本だ」と答える。そこの店の店主は立派な髭をはやした年輩のアラビア人のようなおじさんだったが、何故か客であるその男ばかりが私たちに話し掛けてくる。水のお金を払うときもその男が受け取ろうとするので、ちょっと躊躇して店主を見ると、その男が気を利かせて店主にお金を受け取るよう促した。結局店主とは一言も話をしなかった。
アヤソフィアの前の道に出てアヤソフィアとブルーモスクの間にある噴水のある公園までくると、ちょうど噴水がブルーモスクを背景にして綺麗に散水しているのを見て、思わず「すご〜い」と声をあげると、サングラスをした男が「すご〜い」と私の発した言葉を笑いながら復唱して声をかけてきた。
見るからにあやしげなその男はやはり「日本人?」と質問してくるので、「そうだ」と答えると日本語で「自分は日本に行ったことがある」と話し出した。
この男は客引きなのだが、客引きが日本人相手に話す常套手段として「日本に行ったことがある」というのがある。そのほかにも「自分の兄弟が日本にいて、日本に友達もいる」というのもある。日本に行ったことがあったり、日本に知り合いがいるということで安心させる手法なのだと思うが、客引きが毎回毎回同じ手口で話し掛けてくるので、「だからなんなのだ」という気持ちの方が強くなってきてしまう。客引きは総じて細身のイケメンだったりするのも、女性客の心証を良くする手口なのか。
その男は「自分は上大岡にいた」と言った。ずいぶんとマイナーな土地の名前が出てきたので、ちょっと驚いたりもした。
「自分の知り合いが絨毯屋をやっているので見にいかないか」と言うので「絨毯ならもう買ったからいらない」と言うと、「どこで買った?」と聞いてくる。「友達の店だ」と言うと「それはどこにあるのか」と執拗に聞いてくる。「ワン猫のいるオスマンさんという人の店だ」と言うと、「ワン猫はワンから出すとすぐに死んでしまうからワンから出してはいけないのに、彼はイスタンブールに連れてきている」とオスマンさんの悪口を言うのでむっとしてしまった。
そして男は「イスタンブール以外にはどこかに行くか」と聞いてくる。「どこにも行かない。イスタンブールだけだ」と答えると、「信じられない!! トルコにはイスタンブール以外にも良いところはあるのに」と言い出す。「私たちはイスタンブールが好きだし、街が好きだからイスタンブールだけで十分だ。だから他に行く予定を入れるつもりはない」と言うと、実は自分は旅行店の人間で私たちが水を買うのを見てつけてきたのだと話した。たぶん、水を買った店にいた男があとをつけるように言ったのだろうと、私は思った。しかし私たちがあまりにもきっぱりとした態度をとったので、男は勧誘を諦めたらしい。
旦那が「明日はビュユック島に行く予定だ」と言うと、ビュユックに行くための船の乗り場やビュユック島のトルコ語のつづりなどを教えてくれたりして、なかなか親切だったりもする。そして「良い旅を」と言って見送ってくれた。
ネットなどを見ると、トルコの客引きはかなりしつこく、困ってついていってしまうと、店の中で暴力的な脅しをかけられたりした人もいるようなことが書かれているのを見る。しかし、客引きが声をかけてくる場所は人通りの多い場所がほとんどなので(というか、人通りの少ない場所に行くこと自体危ないと思うが)、そのような場所で客引きを断ったからといっていきなり暴力的な扱いをすることはさすがにしないだろうと思う。イスタンブールの町中にはポリスの車がけっこう走っているし、トルコの人全てが客引きなわけではないので暴力を受けている観光客がいれば親切なトルコ人の中には助ける人も多いはずだ。他の観光地などでは勧誘を断ると「You are crazy」などと罵倒されたりすることもあったが、一番客引きに多く会ったこの公園ではそこまでひどい客引きはいなかった。だいたい22〜28歳くらいの若いイケメンで、流暢な日本語で「日本に行ったことがある」というのが常套手段。今日の客引きは上大岡だったが、新百合丘、蒲田など神奈川・東京都下の小さな町が多いのも面白い。
この公園で4回も会った赤いシャツの客引きは、最初は「絨毯を見に行かないか」というものだったが、次に会ったときは英語で話しかけてきて「自分は日本語あまり得意ではない」と言うので「この間会ったときは日本に日本語勉強しに行ったと言ったじゃないか」と言うと、最初は「初めて会う」と言い張っていたもののそのうち日本語が話せることがばれてしまいお互いに笑ってしまって客引き失敗。3回目は「おはよう」と声をかけてきて親し気にしていたが、「絨毯は見に行かないし、イスタンブールの他にどこにも行かないよ」と言うとちょっと悔しそうにしていた。4回目は最後の日でこの公園のベンチで煙草を吸っていると、遠くにいて別な観光客の客引きに失敗したところを見つけて手をふると嬉しそうに近付いてきて、「煙草は健康に良くない。ぼくは煙草嫌いだよ」などと説教くさいことを言う。「これから帰るのでこれが吸い納めだ、空港に行けばもう吸えないしね」と言うと「それは当たり前だ」と笑う。最後の最後で「絨毯見に来てよ」と懇願されたが「もう荷物を詰めてしまったので、これ以上荷物を増やすつもりはない」と言うと思いきりむっとしていた。それでも「もう会えないね」と言うと寂しそうにしてくれていたのが印象的だった。
トルコの客引きはしつこいし観光客と見るとあちこちで話し掛けられるが、少なくともこの公園で出会った客引きのほとんどは悪いやつではなかった。しかし、悪いやつではないからといって店についていけば、その先で何をされるかはわからない。客引きがいるからといって悪い店と限った話ではないのかもしれないが、「知らない人についていってはいけません」という親の言葉はここではしっかり守るべきだと思う。要はきっぱりとした態度で断ることが一番大切なのだろう。
つづく
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