◇トルコ旅行記 〜6月4日 エジプトバザールと問屋街〜 ― 2007年07月20日 02時17分48秒
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エジプトバザール。ここでもサッカーチームの優勝を祝う旗がかかげられている。 |
■エジプトバザール
腹ごしらえをして、エジプトバザールに向かうために再び地下道に入る。トイレに行きたかったが、どこにあるのか判らずエジプトバザールに入ってからにすることにする。地下道の反対側の出口の階段のところで、年輩の女性がポケットティッシュやライターなどを売っている。こんなものでもここでは商売になるのだ。
地下道を抜けるとモスクがあり、銀行やレストランがある商店街に出る。お茶が飲みたいのでバザールに行く前に一服しようとレストランに入ると、店員がオープンエアーの席に誘導してくれる。別な若い店員からメニューを渡される前にチャイを2杯注文すると、大きいのか小さいのか聞かれたので大きいのを注文する。すると、席を誘導した店員が若い店員に私たちの目の前でトルコ語で何か怒っているのだ。言葉は判らないが、どうやら「チャイだけの注文なんて受けるな」というようなことを言っている様子。若い店員は困った顔をして私を見るが、私も困った顔をして彼と怒っている店員を交互に見ていたので、彼は仕方なくその場を離れた。確かに昼時でここはレストランだからチャイだけというのはいささか乱暴な注文だったのかもしれないが、誘導したのは自分なのになんでそんなことでいちいち注文担当者を怒らなければならないのか解らず再び嫌な気持ちになり、チャイを飲んで5YTLの料金を支払いトイレにも行かずにさっさと店を出た。
商店街を抜けてエジプトバザールに向かう。商店街は銀行がよく目につき、バザールで買い物する前に銀行でお金を用意しろと言われているみたい。エジプトバザールは食べ物関係のお店が多いらしく、地元のトルコ人もよく利用すると聞く。バザールの周辺は問屋街のようになっていて、同じものでもバザールよりもずっと安く売られていたりする。
バザールの中は、ロクムやナッツなどのお菓子やエッセンシャルオイルのお店の多い場所と、鍋などの料理器具のお店の多い地域、チーズや肉、魚などの食料品を売るお店の地域とおおざっぱに区分けがある様子。入ってすぐのところはお菓子やオイルのお店が多く、ロクムを売る店をのぞくと店の中に入れと強引に引っ張り込まれる。ロクムの値段を聞くと1kgで30YTL(約2790円)だという。これは以前購入したロクム屋と同じ値段だったのだが、旦那はそこのロクムは500gで1YTLだったと勘違いしていてここの店が異常に高いと憤慨している。私たちが「それは高すぎる、別な店では500gで1YTLだった」と主張すると、若い店員は店主の顔色をうかがい「それはわかっているが、頼むから大きな声で言わないでくれ。店主に聞こえる」と困った顔をする。「なら300gで色々入れるから8YTL(約744円)でどうだ」と提案する。何度も帰ろうとするが買うまで店から出しもらえない雰囲気で、結局その提案を受け入れることにした。ロクムは味見をさせてもらったが、味はなかなか悪くなく、結局300gと言っていたところ400g近く入れてくれた。店員は明るい人で悪い感じはしなかったが、スルタンアフメットのお店よりもずっと強引なのに腰がひけてしまう。
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エジプトバザールで買ったのロクム屋の袋。 がさがさの質感だが、質素な感じがかわいい。 |
購入した胡椒ミル。後岩塩をひいたら金属も一緒にひけてしまい、塩が黒くなってしまった。後で調べたら胡椒ミルで塩をひいてはいけなかったらしいが、胡椒をひいても金属がでてくるのではないかと怖くて使えなくなってしまった。 |
次の店で小さな手動のハンドルのついた胡椒ミルが目にとまり、価格を聞くと愛想のない店員が3個で21YTL(約1953円)だと言う。他のタイプを聞いたが、他のはけっこう高いので一個は家で使いあとはお土産にすることにして値段の交渉をするが、18YTL(約1670円)まで下げてそれからは一向に応じない様子。1個560円くらいならそれほど高くないと考え18YTLで応じて中で清算しようとすると、エッセンシャルオイルの並ぶカウンターに案内されオイルの説明をされる。
トルコのエッセンシャルオイルは非常に精度が高く質もいいと聞いているが、私は興味がない。断るがここでもやはり強引である。旦那は「妻はアレルギーがあるから使えないのでいらない」と言うと、「だったら普段はどうしているんだ」と聞いてくる。それを聞いて私がむっとして「私はサロンで専門にブレンドしたオイルでエステしてもらっている。ほら腕もつるつるでしょ」と嘘を言う。あまりしつこいので向こうが“金持ち日本人”を相手にしているのなら、こちらもそれを逆手にとることにしたのだ。もともと体毛も少なく色白なので、綺麗に見えないこともないのだ。それを見て相手も諦めた様子だったので、これは成功したと心の中ではちょっと喜んだりした。
ところが、ミルのお金を20YTL札で払うと、それは空港で換金したしわひとつない新札だったので、店主が「こんな綺麗なお札見たことがない。日本人が持っているお札だし、コピーしたんじゃないか」と笑いながら嫌味を言い、お金をひったくって店を出たい衝動にかられたがお金はすぐにレジに入れられてしまったので諦めた。
まったく、エミノニュに来てからろくなことがない。それまで“トルコ人は親切”と思っていたのが、商売がからむと根性が悪くなることに辟易してしまう。日本でも観光地の商売人がしつこかったり、根性が悪かったりして嫌な気持ちになることはあるが、普段のトルコ人の親切な顔とのギャップには面喰ってしまう。観光ツアーでこんなところばかり周り、嫌な気持ちになって「二度とトルコには行きたくない」という人もいる話を聞くが、その気持ちは解らないでもないと思ったりする。
結局、ここは観光地で観光客相手にたくましく商売している人を相手にしても嫌な気持ちになるだけと判断し、あとはお店を眺めるだけ眺めてバザールの先にある問屋街に行くことにした。
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問屋街の一区画。エジプトバザールより人通りが多く、その中を車が平気で通り抜けていく。 |
■問屋街
エジプトバザールを抜けると、すぐに食器や調理器具などの問屋街がある。調理器具のお店が並ぶ先には裁縫用品などのお店があり、調理器具のお店では鍋やチャイポットが山と詰まれ、裁縫用品のお店ではレースや糸、生地、ボタン、ビーズなどが束で売られている。道の真中に布をひいて洋服などを売る人もいるが、車が通るたびに店をたたんで移動して歩いている。食器などはエジプトバザールよりもだいぶ価格は安く、観光客もこちらまで流れて買い物をしているがだいたいは地元のトルコ人でごった返している。観光客相手ではないのでお店の人も必要以上に話しかけてはこないし、客引きもないので安心して買い物ができる。
ホテルで友達になったご夫妻は、皮のスカートのファスナーが壊れてしまったのでトラベルインフォメーションに聞いたところ、ここの問屋街で直してくれると教えてもらったらしい。後でそのスカートを見せてもらったが、直したことがわからないくらい綺麗に直っていた。
目的のチャイポットを見ると、エジプトバザールでは40YTL(約3720円)くらいしていたものが、18YTL(約1674円)から売られている。ホーローでお花の模様などが入ったものは35YTL(約3255円)くらいするが、それでもバザールよりはずっと安い。最初に見かけたお店でステンレスのを見ていると、店員が「13.5YTL(約1256円)でいい」と言ったきり他の客の相手をするために離れていってしまった。数年前に友達のトルコからの留学生が「チャイポットは600円くらい」と言っていたのだか、トルコはそれからデノミが行われたりしているので価格が倍だったとしても不思議ではない。店員が離れたので他の店ものぞきに行く。
いくつかの店を回ったが、相手が観光客だとここではなかなか相手をしてもらえない。最初の店はバザールから一番近かったせいもあるのかお客でいっぱいだったのに、他の店にはあまり客がいない様子。値段を聞いてやっと接客してもらえたが、どこも最初の店より高いことを言ってくる。「あそこの店ではもっと安かったけど」と言っても値引きにはなかなか応じてもらえない。
結局最初の店に戻ると、違う店員が同じ価格を言ってきたので13.5YTLで購入することに決めた。お客があまりにもごった返しているので、値引き交渉をする余地もなかった。同じようなものが横浜中華街で6000円で売られていることを考えると、安い買い物だったと思う。
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問屋街の入口(?)。ここにもサッカーチームの優勝を祝う旗がかかげられていて、トルコ人の熱狂的なサッカー熱が感じられる。 | 一番お客が入っていた食器店。ここでチャイポットを購入した。 | |
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秋葉原デパートのような雰囲気のデパート。 アクセサリー用品などのお店がある。 |
デパートの一画に置かれていた、荷物を背負う道具。年輩のおじさんがこれで大きな荷物を運ぶ姿があった。 |
バザールや問屋街に入ればトイレがあると思い込んでいたのだが、トイレがなかなか見つからない。洋品店街に入ると交通量も多くなってきて、狭い道では歩いているのもやっとだったりする。途中道端に大きなトラックが停まっている横を車が通りすぎようとしていて、歩行者は商店のショーウインドウに押し付けられるようによけなければならなかった。私が車をよけた場所は結婚式用のディスプレイ用の飾りを売る店で、ショーウインドウには綺麗なレースに鳥や花などの飾りがディスプレイされていてメルヘンチック。その奥に小さな5歳くらいの男の子が座ってこちらの様子を見ていた。ウインドウのディスプレイがあまりに綺麗で、その男の子はまるで天使のようだった。ウインドーに押し付けられながらもあまりのかわいさに見とれてしまい、目が合ったので小さく手をふると、その子も嬉しそうに手をふりかえしてくれた。
その通りの角にカフェがあったのでそこに入ろうと提案するが、旦那は疲れていてなかなか返事をしてくれない(疲れたからといって聞いたことに返事がないのは困ったものである)。しばらく歩くがトイレが限界に近くなってきたので、カフェに戻って休むことにして強引に道を戻る。カフェに入って一番にトイレを聞くと、トイレはバザールの入口にあるモスクまで行かなければないと言われる。仕方ないのでそこで休憩をするためにアイランを注文すると、店員さんが地下のトイレを使ってもいいと言ってくれた。あまりにも嬉しかったので、トイレから戻ってチャイも注文する。トルコ語で「イキ チャイ リュトフェン(チャイをふたつお願いします)」と注文してみたが発音が悪いようで最初は通じなかったものの、一人判ってくれた店員さんがいて無事にチャイにありつくことができた。
私たちがチャイで和んでいると、さっき手をふってくれた男の子が両替のためにその店に入ってきて、私を見て「わー、さっきの人だ(と言ったのだと思うが不明。トルコ語だったし)」と言ってまた笑顔で手をふってくれた。それが嬉しくて、さっきまでのナーバスな気分を一新することができた。
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バザール前の広場。 掃除が行き届いているので、ゴミひとつ落ちていない。 |
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エジプトバザールの出口では、チーズやハム、魚や肉などを売る店が軒を並べていて、ここは本当に秋葉原から浅草、上野アメ横のようだと思った。白チーズは欲しかったが検閲を通るか不安だったので購入を断念。地下道前の広場で一度腰をおろし、バザールの様子を眺めたりして少し休むことにした。
売店でタバコを購入し一服して火を消して捨てる場所を探していると、街の清掃員のおじさんが「ゴミ箱に捨てていいよ」と教えてくれた。彼は私が火を念入りに消しているところをずっと見ていたのだ。
イスタンブールは本当に綺麗な町で、ゴミ箱もあちこちに設置されているしゴミ箱もあふれて汚いということは少ない。清掃員の人がまめに掃除をしているし、街路樹を剪定する光景もあちこちで見ている。観光の街ということもあるのだろうが、色々な国の人が色々な常識で歩いているにも関わらず町中が綺麗に保たれているというのには感心してしまう。かえってガラタ橋あたりでは、買ったパンをかもめにやるふりをして海に捨てている観光客もいたりする。ついでにペットボトルなどを捨てたりするので、港はけっこうゴミが浮かんでいた。観光にくるところは綺麗なほうが絶対にいい。それには訪れる人がそれぞれで気をつけることも大事だと思うのだが。
それにしても、エミノニュに来てから嫌な気持ちと嬉しい気持ちが交互にあって、とても複雑に気分になってしまった。トルコ人はとても気さくで陽気で親切なのだが、観光地で商売している人は嫌な人が多い。これはどこでも同じなのだろうし日本だってそういうことが多い。基本的にはトルコ人は親切で人懐っこいのだと考え、エジプトバザールをあとにしたのだった。
つづく
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