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◇NHK教育 北京パラリンピック 限界に挑むアスリート~進化する障害者スポーツの世界~2008年09月06日 02時29分42秒

NHK教育で5日の午後9時から放映された、「北京パラリンピック 限界に挑むアスリート~進化する障害者スポーツの世界~」を見た。

リハビリを目的としたものから、本格的なスポーツの世界に変貌をとげている障害者スポーツの“現在”をとりあげたものだが、その進化に驚いた。
南アフリカのオスカー選手が、義足をつけて“健常者”のレースに出場するだけの実力を身につけていることや、車椅子テニスに対する国際テニス連盟の取り組みなどを見て、やっとスポーツの世界で“健常者”と“障害者”の壁が薄くなってきていることに感動した。

私はスポーツには興味がなく、見ることもすることもしない。結婚するときの条件も、スポーツをテレビでいつも観戦しない人というのが条件だった(父が野球のシーズンになると、家に1台しかないテレビを独占し、見たいテレビ番組を見れなかったから)。
しかし、最近のスポーツ選手の取り組みなどを見ていると、たまに見るにはいいかもしれないと、ちょっとだけ意識が変わってきている。
そんな中で、以前友人のエアロビックインストラクターの所属する団体の手伝いをしているとき、その団体で力を入れているアダプテッド・エアロビックの取り組みについての話を聞く機会が多くあり、特に障害者スポーツに対する意識が変わった(といっても、あくまで素人レベルでのことだが)。
そのとき、(素人は素人なりに)スポーツをする上での健常者と障害者の違いというのは、いったいなんだろうと感じた。

障害があるということで、生活するだけでも大きな苦労を余儀なくされることは、想像しなくても理解できるものだが、その上でスポーツをするということは並大抵の努力ではないだろう。
しかしスポーツの世界において、健常者のスポーツ選手も競技でよい成績を残すために努力するのと同じように、障害をもっている人もその気持ちと努力は健常者と違うところは何もないのだろうと思ったのだ。
障害があるなしにかかわらず、スポーツがしたいと思い、その中で良い成績を残し、アスリートとしての努力を惜しまないというのは、健常者とか障害者とかいう問題などないように感じたのだ。

もちろん、障害を持つということは大変なことだろうと思う。身体の問題の上に気持ちの問題もあるだろうし、何より世間に出れば健常者はどうしても障害を持つ人に対して、同情的なフィルターを通して見てしまう。しかし、それは良くも悪くも、障害を持っている人に対する差別の意識につながっていくもののようだ。
もちろん、障害を持つ人も暮らしやすい町づくりや、困っている人を助けるという意識は大切だが、障害者であってもなくても困っている人に手助けするということが、障害者だから特にそうすべきだなどと意識を別にする必要はないということなのだと思う。
障害を持っている多くの人が、同情的な目で見られることに不満を抱いていることも聞いた。
(しかし、これは障害を持つ人に接しなれていないと、その加減は大変に難しい。私自身も、目の不自由な人と暗い夜道を二人きりで一キロほど駅まで歩く機会を与えられ、どう接していいのかわからず、気をつけていたとはいえ過度に心配してしまった。相手の人は何もいわなかったが、あまり良い気持ちではなかったのではないだろうか。)

この番組を見ていて、障害者スポーツを見るうえでは、そのフィルターはまったく必要がなく、ひとつのスポーツ競技であるという捕らえ方をすべきだということを、更に強く感じた。
出演していた高飛びの選手も、南アフリカのオスカー選手も、国際テニス連盟に認められた車椅子テニスの国枝選手も、健常者と同等に扱われ、同じ舞台に立ち、多くの人に観戦してもらいたいと熱望している。
もちろんすべての競技が健常者と同じようにできるわけではないだろうが、可能であるのならそうした取り組みが必要であり、障害を持っていても健常者と同等あるいはそれ以上の身体能力を備え、観戦に耐えうる競技を行うことができるということも伝わってきた。
補助器具などの進化により逆にそれが補助となってしまい、健常者と同等に扱えるかどうかという課題も番組中で扱われ、それはたぶんこれからも大きくなっていくのだろう。
しかし、少なくとも障害があるとかないとか以前に、そのスポーツに真摯に取り組み記録を残すことができるということで、その壁がとりはらわれつつあるということは、大きな進歩だと思った。

ただ、オリンピック前のこの手の番組では、2時間枠をとったりと大掛かりな盛り上げ方をしたのに、今回の番組は50分。
しかも、オリンピック前の番組では、選手の身体能力に対して科学的な見地から検証するなど興味深い内容だったのに対して、今回はやはり「障害者スポーツの現在の姿」に焦点をあてるだけで、科学的にどう進化してきているのかの検証がまるでなかった。オリンピック前の番組ををふまえて、その比較などをすると障害者スポーツがどれだけ進化してきているのかがよくわかる内容だったのではないかと、残念に思う。

こうした番組を放映する取り組みは評価したいが、扱いが小さく、しかも同じような内容を同じ日の同じ時間帯で、NHK総合のニュース9の中でも取り上げていたことで、その扱いの小ささを更に感じてしまう。
ただでさえ関心度がオリンピックよりは低く、休み中に開催されたオリンピックよりは視聴率に期待できないのはわかるが、せっかくパラリンピックも放映するのであれば、オリンピックと同じような盛り上げ方も必要なのではないだろうか。
このあたりで、NHKが持つパラリンピックに対するフィルターを感じてしまう。

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