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◇アニメ 墓場鬼太郎2008年01月11日 05時24分30秒

フジテレビの木曜深夜で、『墓場鬼太郎』が始まった。
『墓場鬼太郎』は『ゲゲゲの鬼太郎』の元であるが、『ゲゲゲの鬼太郎』と異なるのは、鬼太郎が正義の味方ではないということだ。鬼太郎と目玉の親父は人間社会の中で生活しつつもそこにはなじまず、飄々と生きていく。妖怪と戦うという点では『ゲゲゲの鬼太郎』と同じだが、妖怪と戦うのも自分達の生活のじゃまになるからにすぎず、決して人間のために戦うというものではないのだ。時には人間をだまし、小学生の分際でたばこを楽しんだり、恋をしたりと、『墓場鬼太郎』の鬼太郎は人間社会になじまないようで、しっかり人間社会の影響を受けつつ生活している。
個人的には正義のために戦う鬼太郎よりは、ペーソスあふれた墓場鬼太郎の方が好きだったりする。

アニメで『ゲゲゲの鬼太郎』が放映されたのは1968年のこと。それからこれまでの間に何度もリメイクされ、それは現在までも続いている。
アニメ化された当初は水木しげるの漫画の雰囲気がまだ残っており、鬼太郎も目玉の親父もねずみ男も毒が残るキャラクターだったりした記憶があるのだが、シリーズ化が進むにつれて鬼太郎は正義の味方然として人間の中で悪い妖怪と戦うというキャラクターに変貌してゆき、最近の鬼太郎に至っては、水木しげるの漫画にあった鬼太郎のキャラクターとはまったく違うものになってしまうのだ。

今回アニメ化された『墓場鬼太郎』は、貸本漫画時代に兎月書房から発行された原作を忠実に再現したものとのふれこみで、大変楽しみにしていた。しかし、第一回の放送を見ると雰囲気は確かに『ゲゲゲの鬼太郎』とは異なるものだが、水木しげるの漫画にあるペーソスあふれたほのぼのさがいささか欠ける仕上がりで、とにかく毒々しくおどろおどろしさばかりが前面にある内容になっている。
もともと幽霊だの地獄だの妖怪だのをモチーフにしているのだから、おどろおどろしい方が原作には近いだろう。しかし、水木しげるの漫画は、どんなに恐ろしい妖怪が出てこようが、戦場で人が死のうが、悲惨な場面があろうが、その次のコマではどこかそこから抜けてくすっと笑ってしまう隙間のようなものがあるのだ。しかし、アニメの『墓場鬼太郎』の第一回放送の中にはそういう隙間がまったくない。
また、水木しげるのざらざらとした質感の緻密な絵の雰囲気もまるでなく、最近のアニメにありがちなさらっとした仕上がりなのも、仕方ないこととはいえなんだか拍子抜けしてしまうのだ。

第一回放送は「地獄の片道切符」。鬼太郎を育ててくれた青年水木が鬼太郎から取り上げた切符で生きながら地獄に行ってしまうという内容。
私の持っている「妖奇伝」の復刻版だと、鬼太郎の育ての親である水木は血液銀行に勤めている設定で、その血液銀行の血液を輸血した患者が死んでいるのに生きているという状況を調査するよう会社から命じられるのだが、アニメでは水木は病院に勤めており、そこの患者が死んでいるのに生きているということになっており、その原因は鬼太郎の母親がその患者の状況を哀れに思って力を注いだ結果そうなるということになっている。
また、水木が地獄に行く経緯も鬼太郎が家の柱の隙間に隠した切符をこっそりうばって行くのだが、アニメでは夜中に出かける鬼太郎を叱って切符をうばうというものだ。
アニメの第一回目の終わりは、行方不明になった水木を案じた水木の母親が祈祷師に頼んで地獄に行ったことを知り、その復讐のために地獄の入り口で鬼太郎を崖から突き落とすように言われ実行するが、鬼太郎親子の策略にはまり墓場で気が狂ってしまうというもの。漫画の中では母親はいつのまにかいなくなっていて、「少なくとも鬼太郎を育ててくれた恩があるから」と言って目玉の親父が水木を地獄から連れ出しているように記憶するのだが…。

『墓場鬼太郎』自体が、何度か書き直されていて、水木しげる以外にも竹内寛行という人が描いたりしているため、さまざまなバージョンが存在しており、私の持っているいくつかのバージョン以外の内容のものもあるのかもしれないが、現在は存在しない血液銀行などの設定は多少書き換えられており、おどろおどろしさを強調するためのシーンが付け加えられているのではないかと思ったりした。この点は、「原作に忠実に…」というふれこみがありそれを楽しみにしていたので、大変残念に思ったりする。

この後、ねずみ男などの登場でこのおどろおどろしい雰囲気がどう変わっていくのかは見ものだが、もうちょっと原作に近い雰囲気がでてくれることを期待したい。


墓場鬼太郎 ハカバキタロウ公式サイト
http://www.toei-anim.co.jp/tv/hakaba/

※水木の母親が祈祷師に頼んで自分の息子の居場所を知るというシーンは、兎月書房版の「妖奇伝 墓場の鬼太郎」復刻版で確認できた。しかし、ガロ版ではちがう終わり方になっている。

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_ ブツクサ徒然ぐさ - 2008年01月20日 00時53分19秒

怖い!おぞましい!哀しい!よくぞ放映に踏み切ってくれた。今度こそ水木しげる先生の本当のメッセージが聴けると思いたい。



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