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◇Way Of The World - Cheap Trick2012年03月04日 07時54分25秒


Way Of The World - Cheap Trick - 1979 Promo

AKB48の歌ではないが、気分がすぐれない時間が長いと、その間に無意識のうちに昔の曲が頭の中をヘヴィローテーションしていることがある。
理由はわからないが、ずいぶんと長いこと耳にすることもなかった曲が、ふっと頭をよぎったりする。
そして、そのままいつまでも頭の中を流れ、ときには口をついて歌っていたりもする。
たいてい、いつの間にかまた忘れてしまうのだが、時にはその曲を聴いていた頃に感じた感覚が、まざまざとよみがえってくることがある。
この曲は、そんな曲のひとつだ。

この曲を初めて聴いたのは、中学1年生のときだった。
Cheap Trickはラジオなどで聞いて知っていたが、この曲が収録されている「Dream Police」が初めて購入したCheap Trickのアルバムだった。

Dream Police以前のCheap Trickの曲は、埃臭いアメリカの雰囲気があり、メロディもそのイメージも、非常にわかりやすかった。
当時の他のアメリカンロックバンドとは異なり、男臭く汗臭いイメージが皆無だったのは、小学生女子には非常に入りやすかったと思う。
ヴォーカルとサイドギターのRobin ZanderとベースのTom Peterssonがルックス担当で、リードギターのRick NielsenとドラムのBun E. Carlosがキャラクター担当という雰囲気。
私のお気に入りはトムだった。修学旅行にもロック雑誌を持参し、海外ロックなどそれほど興味もない友人に無理やり見せて、「ロビンとトムとどっちがいい?」などと聞いていた。

面食いなのは今も変わらないが、Cheap Trickに関してはメンバーのルックスもさることながら、バンドの持っている雰囲気や、サウンドのバランスなど、ルックス以上に楽曲の方が身体に浸透しているような気がする。
当時「80年代のThe Beatles」などと騒がれ、彼ら自身もThe Beatlesの曲をカヴァーしたりもしているが、今改めて聞くと、ベタなアメリカンロックの中に、The WhoやThe Kinksなどの影響の方が色濃く感じられるような気がする。
The WhoもThe kinksもこの頃の私はまったく知らない存在であった。その後The Jamをはじめとしたモッズ系のバンドに傾倒することで、さかのぼってファンになるのだが、最初にサウンド主体で気に入ったバンドにもこの傾向が見られるのは、自分でも少し驚いたりもする。

この曲に最近再会したきっかけは、Van Halenにデイヴ・リー・ロスが戻ってきたというニュースを観たからだった。
YouTubeで当時の曲を探しているうちに、彼らの曲を最初に聞いた「レベルポイント」という映画のことを思い出したのだ。
この映画は帯広では上映されなかったのだが、Van HalenやThe Cars、Cheap Trickなど、当時話題になっていた新鋭のバンドがサウンドトラックに参加しているので、Cheap Trickだけでなく色々聞けるサウンドトラックのレコードとして、特に気に入っていた。
それで懐かしくなって、Van Halenからたぐっていくうちに、この曲にたどり着いたというわけだった。

実を言うと、Cheap Trickのアルバムで唯一持っているのはDream Policeだが、Dream PoliceはCheap Trickに失望したアルバムでもあった。
それまで持っていたCheap Trickらしさがなんとなく失われていて、どこかドラマチックで作り上げた感があったからだ。
しかも、このアルバムが発表された後、お気に入りのペースのトムが脱退してしまったのだ。

「Way Of The World」は、日本ではちょうどトムの脱退のニュースがあったかないかのタイミングでの発売で、私はDream Policeでシングルカットされた曲の中で、この曲だけシングルレコードを持っていない。
でも今聞くと、Dream Policeの曲の中では、この曲が一番当時の感覚を感じられる曲なのだ。
シングルカットされた「Dream Police」や「Voices」など別な曲のPVも見たが、なぜかこの曲に魅かれてしまう。

この映像はPVなので、音源はレコードの録音のものである(たぶん、シングルカットしたバージョンと思われる)。
でもこの映像は、当時「動くロックアーティスト」なんてほとんど見ることなど叶わなかった自分のイメージを、当時の印象をまったく損なうことなく映し出しているように思えたのも嬉しかった。

コーラスのところで、いちいちトムがメインマイクに入り込んでくるところが、ちょっとうざいと思ったりもするが、イケメン二人がメインマイクで歌う姿は、なんとなくセサミストリートのマペットのようだと思った(口がカパっと開くところが、なんとなく…)。
それと、ロビンのイギリス的でない素直なこぶし回しと伸びやかな声が、とてもすんなり発せられるところが、見ていて非常に気持ちいい。たまに彼の癖で、目を上にむけて歌う姿が、なんともなくかわいらしいと思えてしまう。
このPVを見ていると、ロビンののびやかな声と、再三挿入されるコーラス、それとわかりやすいサウンドが、初期のCheap Trickを彷彿させるのかもしれないと思ったりする。

この頃、自分の将来のことについていろいろと考えることが多くなり、漠然と音楽雑誌の編集者になりたいなどと思い始めていた。
雑誌の編集になるには、当然北海道を出る必要があったし、当時は女子は大学に行かず地元で仕事を見つけて結婚するというのが普通であり、多くの親がそれを望んでいたため、北海道を出て就職するなど夢のまた夢のようなことだった。
それでも、当時は毎日のようにレコードをかけて、音楽雑誌を読み漁り、音楽に携わる仕事をすることを夢見ていた。

Cheap Trickの曲は、ちょうどそんな時代に聞いていたバンドだ。
半分忘れかけていた曲が、昔の気持ちを思い起こさせる。
「Way Of The World」を聞いたとき、大げさなようだが、なんだか強烈な光のようにその頃の記憶がよみがえったのだ。
それは、自分にとっても大事に感覚だったのだと再認識させられる。
そういう音楽に出会えたことを、あの感覚を思い出せたことを、今は感謝したいと思う。

2012年03月14日改訂

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