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◇早起きしてロンドン・オリンピック開会式を観る2012年07月28日 14時35分23秒


David Bowie - Heroes
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ロンドンオリンピック開会式。
昨日の夜は10時に寝て、早起きして観た。

ずいぶんとこじんまりした会場だな、というのが第一印象。北京やアテネと比較すると、スタジアムがちょっと小さく見えるのは、やはり古くからの大都市であるせいなのか。

今回のオリンピック。ブリティッシュ・ロック好きにはたまらない企画が盛りだくさんという下馬評もあり、開会式・閉会式に関しては実に様々な噂が飛び交っていた。
ポール・マッカートニーがすでに引退宣言をしたリンゴ・スターとミック・ジャガーと、彼等と対極にあるようなジョン・ライドンと一緒に共演するとか、すでに30年以上前に亡くなっているThe Whoのキース・ムーンに、オリンピック委員会からステージオファーが正式にあったとか、ポール・マッカートニーと、ジョン・レノンの二人の息子ショーンとジュリアン、ジョージ・ハリスンの息子、引退したリンゴを引っ張り出すのか、それとも彼の息子であるザック・スターキーを引っ張り出すのかはわからないが、そのメンバーで新生ビートルズを画策しようとしたりとかなどなど…。

実際、前回の北京オリンピックの閉会式には、次期オリンピックの予告としてレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが登場したりと、ロンドンオリンピックとブリティッシュ・ロックとのコラボは4年前から予想されていたものだった。
しかし、蓋を開けてみると、次期予告をしにわざわざ北京まで出向いたジミー・ペイジには招待状も届かずビートルズもローリング・ストーンズもレッド・ツェッペリンにもことごくオファーを断られたという噂も耳にした(ジミー・ペイジが招待されないのに、ツェッペリンにはオファーがいったのか?そのへんは謎。あくまで噂の範疇だし)。
キースにはオファーがあったのに、実際The Whoへのオファーはどうだったのだろうかとか、The Whoにオファーがないのであれば、キンクスだとか80年代の第二次ブリティッシュ・インベイションを支えたたくさんのバンドは、ビートルズあたりから比較すれば小物扱いなのだろうかとか、いろいろと邪推はつきなかった。


Mike Oldfield - Tubular bells
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実際に蓋を開けてみると、セレモニーで最初に演奏したのは、マイク・オールドフィールド。
彼の代表作は、往年のホラーの名作映画「エクソシスト」の印象的な曲として世界中に知れ渡る結果となり、彼の曲を一度は耳にした人も多いとは思うが、このような場所で抜擢されるような人だとは思ってもみなかった。
実際にベースとギターを自ら演奏して、「チューブラー・ベルズ」での登場。
この人は人嫌いだったり精神疾患にかかったりしている割には、クイーン・エリザベス二世石庭号のアルバムを作ったりと、何かとイギリス王室との関わりは強い印象。

ベッドの上に乗った子供達が、チューブラー・ベルズのオープニング曲に乗って移動していく様子を見て、「ホラー好きでブラック・ジョーク好きのイギリス人のことだから、これで子供の首がいっせいに360度回ったりしないだろうか」と一瞬思ってしまったが、これはイギリスが医療に貢献したことへの表現であり、不謹慎な考えを恥じた。
それでも、この後のピーターパンのネヴァーランドからメリー・ポピンズに至るファンタジーの世界へと続く序章として、この曲の中で一番幸せそうなイメージのメロディ部分がきちんと使用されているところは、とてもよかったと思う。エクソシストでの意図せぬ使用によって、この曲に悪魔的イメージがついてしまったことに、マイク・オールドフィールド自身は歓迎はしていなかったのだし。


Sex Pistols - God Save The Queen
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セレモニー中、イギリスの歴史を表現する中でも、ブリティッシュ・ロックはあらゆる場面でちりばめられていたが、懸案だったセックス・ピストルズの「God Save the Queen」は、歴史紹介の中で一瞬タイトル部分のみが流れるにとどまった。
次期としては女王が007に伴われて、パラシュートで会場入りする前のことなので、女王はこの曲を直接耳にしていないということになっているようだが。


The Jam - Going Underground
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Millie Small - My Boy Lollipop
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イギリスの歴史とは別に、イギリスのロックの歴史を紹介するセレモニーの中では、地下鉄で出会った二人の男女のドラマ仕立てのダンスパフォーマンス中で、ブリティッシュ・ロック三昧。
時系列は一応ビートルズの60年代からということになっているが、主人公が出会う地下鉄の場面では70年代後半のザ・ジャムの「Going Underground」がかかったり、70年代初頭の途中でスペシャルズが挿入されたりと、時系列はわりと適当な印象。
わりと有名どころが紹介されていたが、イギリス初のロック/ポップ音楽専門番組「レディ・ステディ・ゴー」のテーマ曲も担当したマンフレッド・マンだとか、モッズのアイドル サンディ・ショー、マンチェスターのスターともいえるザ・スミスやストーン・ローゼスなんかが欠けていたような印象を受けた。
レディ・ステディ・ゴーの映像で、ミリー・スモールなんかの映像が出ていたのは、60年代好きには嬉しい収穫だったのだが。


炎のランナー テーマ曲(ヴァンゲリス)Chariots of Fire - Vangelis
※ここにはMr.ビーンはいません。
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その後、パリ大会の陸上選手を描いたヴァンゲリスの「炎のランナー」が、ミスター・ビーン付きで演奏されたり、選手入場ではブリティッシュ・ロック・メドレーにアレンジされたさまざまな世代の楽曲が会場にあふれていた。
選手入場では、「えーと、これはなんだっけ」「これは誰だっけ」と記憶ののろいのオンパレード。曲は覚えているのに、曲名が出てこない。PVは頭に出てくるのにアーティスト名がわからない。個人的に、非常にフラストレーションを貯めつつも楽しめた。
最後の、イギリス代表選手入場でのデビッド・ボウイの「Heroes」は、入場した選手全員が「Heroes」であるということなのか、それとも英国選手こそが「Heroes」であるということなのか。その両方だと思いたいが、なんとなくかつての“英国至上主義”みたいなものが、こういうところで表現されたのかななど、勝手に思ったりしていた。

初盤のセレモニーは、英国がもともとはいくつかの国に分かれていたところから、各地の民族音楽の子供の聖歌隊の合唱から始まり、産業革命などを経て国が一つになっていく歴史が表現されていたのだが、産業革命で多くの移民が英国内に入ってきたというくだりを、各国の英国領であった国や、現在でも英国領である国はどう思ったのだろうか。
どこの国でもそうだろうが、移民の歴史にはいろいろな闇の部分も含まれる。事実、未だに英国内でも外国人排斥運動などは普通に存在している。

英国に行ってそういう歴史に詳しいわけではないからなんともいえないが、セレモニーダンサーの中には有色人種の人たちも多く見受けられたし、移民の存在あっての英国であることを認めているような印象を受けるセレモニーだったと思う。
ただ、英国のロックの歴史の中には、常にアイルランドの問題は大きく存在していることは確かで、そこのところは微妙にぼやかされていたように感じた。
各国選手の入場する中で、ひときわ長くU2が流れていたのが印象的だった。流れた曲ができれば「Sunday Bloody Sunday」であってほしかったけれど、平和の祭典には似合わないか。
せめて「Beautiful Day」だったらよかったか。それとも実際にかかっていたのは「Beautiful Day」だったろうか。U2も何がかかっていたのかはっきり覚えていない。

U2に関しては、開会式に出るのではなど噂が流れていたが、アイルランドのスターである彼等が実際オファーがきたとしても受けるかどうかは微妙だと思った。
それにしても、いつの間にかU2はアイルランドのスターであると同時に、英国のポップスターになってしまったのだなあと感じた。


Arctic Monkeys - I Bet You Look Good On The Dance Floor (2005)
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選手入場が終わり大会宣言まで、鳩のバイシクルレーサーと登場したのは、2000年以降の英国を代表するアークティック・モンキーズ。
オリジナル曲とビートルズの「Come Together」をかなり忠実に披露した。
彼等がRockin'onの表紙に登場した頃は、まだ高校生だったんだよなあ、とこのあたりはなんだか隣の子供の成長を見るような気持ち。


ポール・マッカートニー / HEY JUDE
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この後、オリンピック委員の挨拶だとか、オリンピック旗の掲揚などを経て、最後の最後で御大ポール・マッカートニー卿の登場。
ビートルズのヒット曲「ヘイ・ジュード」を熱唱するも、ステージにはショーンも、ジュリアンも、リンゴさえもいなかった(ドラムをたたいていたのは、柔道の選手かつのだ☆ひろかと思われるようなドラマーだった)。

花火でテレビ放映は終ったが、実際この後何かステージが続いたのか、それともマッカートニー卿で終ったのか、なんとなくはっきりしない幕切れであった。

それにしても、ブリティッシュ・ロックのラインナップってこんなものだっただろうか。
開会式の後で放送している、28日土曜日と29日の土曜日午後から半日かけて放送される、NHK-FMの「今日は一日“ブリティッシュ・ロック”三昧」を聞いていると、「ああ、このバンドもいなかった」「この人も聞かなかった」と思うものばかり。
暗いヒット曲しかないアニマルズはしかたないにしても、ロッド・スチュワートは完璧スルーだし、エリック・クラプトンはかかっていただろうか、ジェフ・ベックは?  ディープ・パープルは? ボウイはかかったけど、ロキシー・ミュージックは? Tレックスは? ザ・ジャム、クラッシュはありでポリスはスルー? エコー&ザ・バニーメンは小物すぎる? ハッピー・マンデーズとニュー・オーダーはかかっていたけど、マンチェの大物オアシスは? フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドはかかったのに、ニューウェイヴ勢は総スカンだったような ベッカムが007に聖火を渡すところでかかったのはパルプ?
考えればつきないから、今日明日はどっぷりFM聞いて、ブリティッシュロックにどっぷり漬かろうと思う。(ちなみに、今かかっているのはザ・ゾンビーズにキンクス。番組開始後、まだ60年代中盤から抜けない。)


追記: それにして、ローリング・ストーンズをはじめ、往年のスター・バンドは軒並み結成50周年らしい。
ほとんど人前に現れなくなったデビッド・ボウイをはじめ、体調戻れば世界ツアーに出発するストーンズ。今年来日したThe Whoのロジャーはまだまだ元気いっぱいだし。
一概に50周年といってもピンとこないが、加山雄三が去年50周年だったといえば、なんとなくそういう時代なんだなと思う。

前述したマイク・オールドフィールドのコンサートは、すでにほとんどクラシックのコンサートの様相を呈しているとも聞くし、ロックの楽曲がクラシックの技法で演奏されることも少なくない。
ロック=若者の文化など、もう今は昔の話なのだ。
エルビスに熱狂し、ビートルズに奇声をあげていた人たちもすでに80歳近くに突入している人も少なくない。ポール・マッカートニー卿だって70歳だという。

ロックスターが還暦を迎えたというので驚いていたのが、ほんのちょっと前のことだったように思うのに。

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