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◇The Boomtown Ratsにはまる2013年12月26日 04時48分20秒


The Boomtown Rats - Someone's Looking At You

最近、やたらとThe Boomtown Ratsが聞きたくなる。
好きなバンドのレコードは、CDにおおかた買い換えたが、The Boomtown Ratsは何故か一枚もCDを購入してない。
ほしいと思った当時にCD化されていなかったせいもあるのだが、いまや初期のCDは絶版状態らしい。

The Boomtown Ratsというとボブ・ゲルドフであるが、The Boomtown Ratsのボブ・ゲルドフというよりは、バンドエイドのボブ・ゲルドフといった方が通りが良い。
彼が1984年にエチオピアの救済チャリティを始めるまでは、ほぼバンドは好調なように見えたが、実際は1979年のシングル「哀愁のマンデイ(I Don't Like Mondays)」以降はパッとせず、1980年「Mondo Bongo」以降はほとんど話題にのぼらなくなっていった。
上の曲は「哀愁のマンデイ」の後に発表された曲で、私は「哀愁のマンデイ」よりこちらの曲の方が好きだった。

デビューから三枚目のアルバム「The Fine Art of Surfacing (邦題『哀愁のマンデイ』)」までは、ビートの利いたドラマチックな曲調だったのが、4枚目の「Mondo Bongo」でファンカラティーナやスカを取り入れたアルバムを発表し、見事にすべったのだ。
シングルカットされた「Banana Republic」はそこそこ話題にはなったが、期待はずれの路線変更にひどくがっかりした記憶がある。
そしてそれは私だけではなかったらしく、彼等の話題はそれ以降聞かなくなっていった。
ちょうど時代もパンク/ニューウェイヴからさらに細分化していった時期でもあり、それまでもコアなファンのいた特色のある小さなレーベルが時代の主流に変わりつつあった時期だった。

1984年のバンドエイドは久々にボブ・ゲルドフの話題を聞いたのだが、バンドとしてはほとんど話題にはならず、数年後に忌野清志郎のバンドでキーボードのジョニー・フィンガーズを見かけたのがボブ以外のバンドメンバーの話題だった。

彼等は1980年に初来日を果たしているが、私の記憶違いでなければその演奏はNHKでテレビ放映された。
当時の音楽雑誌の記事で、日本の学ランがたいそうお気に召したようで、ステージでもメンバー全員が学ラン姿で演奏しており、ジョニーは普段からパジャマにソフトハットといういでたちだったため、その時はパジャマの上に学ランを着ていたのが印象的だった。

The Boomtown Ratsの曲は、当時を色濃く反映している。
パンクムーブメントからニューウェイヴへ時代は急速に変わっていくのだが、その過渡期のイメージがThe Boomtown Ratsなのだ。
派手でいい加減で雑だけど、キャッチーでキッチュなメロディライン。
白黒の市松模様や、肩パッドの入ったTシャツ、ソフトハット...
今彼等の曲をYouTubeなどで聞くと、ものすごい勢いで動いていく当時の時代を目で見ているような感覚に陥る。
バブル前で、まだまだ先行きはあやしいけれど、確実に何かが終結しつつある予感。
この時代が実は一番良い時代だったのかもしれないと、漠然と思ってしまう。

細くてひょろひょろの手足を振り回して、ステージを所狭しと駆け回り、前かがみで観客を煽る姿は、それまでのロックスターのイメージとは確実に異なっていた。
ギョロギョロした目を見開いて歌う姿は、ジョン・ロットンや同じアイルランド出身のU2のボノほどのカリスマ性は感じられなかったし、バンドメンバーの演奏も歌もお世辞にも上手だとはいえなかったが、何かひきつけられるものを感じていた。

彼等は最近また活動を開始しているらしい。
最近のステージの映像を観たが、思ったほど劣化していない。
ただ、当時のステージから転げ落ちそうな勢いはないし、過去の栄光をそのまま引きずったかつてのロックスターの姿でしかないのが悲しい。
でも、昔の彼等の映像は、今から見ても勢いあまってどこかに連れて行かれるような印象を未だに持っている。
そんな感覚にひかれてまた彼等の曲が聞きたくなっているのか、それともただのノスタルジーか。
たぶん、その両方とそれ以上なのかもしれないと思ったりする。

◇Buzzcocksに出会う2013年12月26日 05時13分31秒


Buzzcocks - I Can't Control Myself

ネットで音楽を探すようになってから、何故このバンドに今まで出会わなかったのだろうと思うのがある。
30年前に出会っていたら確実にはまっていただろう。
Buzzcocksもそういうバンドのひとつだ。

1976年デビュー。1981年に一度解散しているらしいが、1989年に再結成して未だ現役である。
パンクがまだ浸透していなかった時代に、マンチェスターにSexPistolsを招聘してマンチェスターにパンクを根付かせ、マッドチェスターの礎となったバンドだ。

1980年というと、私はまだまだ日本の音楽雑誌に普通に載っているそこそこメジャーなバンドしか知らず、マンチェスターのインディレーベル出身のバンドの音が私まで届く事はなかった。
ラジオなどで紹介されるのも限界があったし、当時のイギリスのヒットチャートを追いかけるのが精一杯な時期だった。

1989年はすでに上京してきており、お金がも時間もなかったので十分に音楽を追いかけることができていなかった時期でもある。
聞いていても、60年代70年代を遡って掘り下げるか、新しく出てきたハウスなどのクラブミュージックに興味をそそられていた。
Buzzcocksは、そんなこんなで私の音楽の谷間にすっぽりとはまって、出会うことなく過ごしてきたバンドらしい。

今から聞くと、音の雰囲気は初期のThe Jamとほぼ同じだし、映像を見ないで聞いていたらボーカルが違うくらいの違和感しかない。
The Jamと決定的に違うのは、ボーカルがド下手なのと、演奏がド下手なのと、いい男がいないことくらいだ。

Buzzcocksの名前くらいは知っていたが、その音が私に届いたのは30年経ってからのことである。
当時、超絶面食いだった私も、今なら冷静にその音を聞くことができるが、やっぱり30年前に聞きたかったと思ってしまう。

こういうバンドがあるから、新しく出てきた昔のニセモノに興味を持てないのだろうか。
当時のザラザラした雰囲気を持つバンドの方が、若くてツルツルしたバンドよりもずっと魅力的に感じるのは、やはりそういう時代を生きてきたせいなのだろうか。

まだまだ発掘すべき音楽は山のように存在すると、それはそれで楽しみなのだが。



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