◇トルコ旅行記 〜6月4日 ガラタ橋のサバサンドと地下道で失敗する〜 ― 2007年07月18日 03時38分48秒
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ガラタ橋周辺。ガラタ橋は、イスタンブールの旧市街と新市街を結ぶ大きな橋。橋周辺はトルコの人が日常利用するシーバスや観光船などの発着所にもなっており、名物サバサンドを売る売店もある。港前の地下道で大きな道路を渡ると、エジプトバザールがある。 |
■ガラタ橋へ行く
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トラムヴァイの乗車コイン「ジェトン」。 | |
スルタンアフメットのトラムヴァイ通りまで行き、トルコの古い音楽をかけている店でトルコの民族音楽のCDを一枚衝動買いする。あとで色々なところで見ると、20YTL(約1860円)を18YTL(約1674円)に値切ってはみたもののそれでも高かったことがわかり、この買い物はちょっと後悔した。トラベルインフォメーションの裏にいつもいるパン売りのおじさんからプリッツを一個買う。一個0.5YTL。これは持って歩くが、結局その日は一口味見しただけで食べなかった(食べずに、日本に持ち帰ったのだ!!)。
スルタンアフメット駅から路面電車トラムヴァイに乗って、エミノニュに向かう。エミノニュはスルタンアフメット駅から3つめだ。
トラムヴァイの料金は一律1.3YTL(約121円)で安い。駅近くにある小さな小屋でジェトンと呼ばれる乗車コインを購入し、路上中央にあるプラットホームの機械にコインを入れるとゲートが開く仕組み。入口と出口ははっきりとわかれている。
イスタンブール滞在中、このトラムヴァイは私たちの重要な足となってくれた。利用客は観光客より地元の人が多く乗っている。みんな静かにしていて談笑している人は少なく、たまに中で携帯電話をかけて大声で話している人がいるが、周囲の人はそれを冷たい目で見て苦笑したりしている。トルコでも公共の乗り物の中で携帯電話をかけるのはあまりマナーが良くないらしい。雑誌や新聞などを読んでいる人は皆無だし、飲食している人もいない。私が水を一口飲むと、それを見ていたトルコ人があまり良い顔をせずに睨んでいたので、トラムヴァイの中での飲食もマナーが良くないようだ。
私たちを含めて観光客であることがわかる人も見かけるが、トラムヴァイの中で客引きに会うということもない。トラムは静かにイスタンブールの町中をすいすいと進んでいく。
ガイドブックでは車内の駅アナウンスはないと書かれていたが、駅が近くなると車内の天井の中央にある電光掲示板に駅の名前が表示され、女性の声で次の駅がどこかきちんとアナウンスされる。出入り口のドアの上には駅の一覧表も掲示されている。一駅の区間は数百メートルほどしかないので乗り越してしまってもそれほど心配ではないのだが、注意して乗っていれば乗り越すことは稀である。それよりも駅のゲートが道の中央にある場合が多く、観光地の駅付近の道路は交通量が非常に多いので、信号もあってないがごとしで非常に車の運転が荒いイスタンブールの道路では、ゲートにたどり着くまでが大変だったりする。車両のドアには自分で開くことができるボタンが着いているが、ドアは概ね自動で開閉してボタンを押してもドアが開かないところを何度も見た。
トラムヴァイから見るイスタンブールの町並みはとても綺麗で活気がある。国鉄の駅が隣接するスィルケジの駅を過ぎると車窓から海が見えてくる。スィルケジの次がガラタ橋やエジプトバザールのあるエミノニュ駅だ。
駅から降りると目の前に大きな橋があり、観光客や地元の人でごったがえしている。ガラタ橋はイスタンブールの旧市街と新市街を結ぶ大きな橋。橋は二重構造になっており、上はトラムヴァイや車が行き交い、下は人の通行路になっていてイスタンブールの魚料理を供するレストランがたくさんある。車の走っている上の通りにも歩道はあって、そこから釣りをする人の姿も多く見かける。下の商店街では釣り道具をレンタルするお店もあったりする。
ガラタ橋周辺では、トルコ人の足となるシーバスや観光船などの発着所になっているので、地元の人や観光客で賑わっている。名物のサバサンドやケバブ、パンなどを売る店があちこちにある。
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ガラタ橋。向こうに新市街が見える。 | エミノニュ駅からエジプトバザールへ向かう地下道。 |
洗濯をしていてホテルを出るのが遅かったので、着いた頃は昼近かった。エジプトバザールに行くには、地下道を通って大きな道路の向こう側に行かなければならないのだが、サバサンドを先に食べるか後に食べるか迷いつつ、地下道に入ってしまう。地下道では両側に商店が建ち並び、下着、服、カバン、靴、おもちゃ、携帯電話などが売られていて、ちょっとしたアメ横な雰囲気。
おもちゃ屋ではバックギャモンが売られていて、小さなボードのものは最初見た店では26YTL(約2418円)と値段がつけられていた。次に見たお店では同じようなものが最初30YTL(約2790円)と言われ、電卓を出してきて28YTLにするという。ここで私は大きな勘違いをし、最初見た店では28YTL(約2604円)だったと思い込んでいたのだ。電卓に表示された28から3ひいて25YTLを提示すると、お店の人が非常に渋い顔をして左腕を大きくこちら側に振ったので「向こうへ行け」と言われたのかと思って店を出ようとすると、何か声をかけている。振り返ると、先ほどまで渋い顔をしていた店員が不思議そうな顔をしてこちらを見ているので、25YTLでいいのだと思い店に戻りそれを購入してしまった。本当はもう少し値引きしたかったのだが、それで投了になってしまいちょっと悔しい。お店の人のギャモン勝ちである。
隣の洋服屋では、スカートが5YTL(約465円)でたくさんハンガーにかけられている。ちょっと丈が長いかなと思い試着したいと言うと、一個しかない試着室はトルコ人のおばさんが四人がかりで使用中。お店の人が「向こうの人が使いたいと言っている」と話してくれたが、おばさん達はにっこりこちらに笑みを返しただけでいっこうに空けてくれる気配はない。急いでいるので店の隅でズボンの上から試着ていると、後から入ってきたトルコ人の男性が非常に嫌な顔をしてこちらを見ていた。女性が人前で例え服の上からといっても着替えをするのを苦々しく思ったらしい。ちょっとまずかったかなと思って、手にとっていた二着を購入して値切りもしないでそそくさとその店を出てしまった。
トルコでは値引きが基本。それは空港からのバスの中でも案内人セフギさんからも言われたことだし、ガイドブックにも書かれていた。日本でも電気屋や車のディーラーではぎりぎりまで粘って値切りするのだが、言葉がうまく伝わらないのと、値切るだけ値切って買わなかったり無理な値切りをする日本人にトルコ人が苦々しく思っていることを耳にして、なんとなく値切ることにナーバスになってきている。もともと日本で買うよりは安いが、それほど劇的に安いというわけではないので、相場がよくわからないというのもある。これが高価な宝石だったら私も気合を入れるのだが、数百円の値切りにエネルギーを使い果たすのもばかばかしく思えてくるのだ。
値切りが得意なはずの私があまり値切らないので、旦那が「値切りが得意なはずなのにどうしたんだ」と文句を言う。説明したかったが、この微妙なニュアンスを説明できるだけの考えがうかばず「そうだねぇ」とお茶を濁してしまう。
なんだかむしゃくしゃしてお腹がすいてきたので、エジプトバザールの前にサバサンドを食べようと提案し、ガラタ橋に戻ることにした。
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サバサンドを売る売店。 |
地下道から出ると、魚を焼く香ばしい匂いがただよってくる。地下道から一番近い売店に行くと、店の横で網の上にたくさん三枚におろしたサバを焼いていて、焼いた先からパンにはさんでお客に渡していく。
サバサンドは大変楽しみだったのだが、実を言うと私はサバアレルギーである。ものすごく新鮮なサバなら大丈夫だったり、火が通っていれば大丈夫だったりすることはあるのだが、旅行先でじんましんに襲われると面倒である。旦那から一口もらうことにして、旦那はサバサンド、私はケバブサンドを注文する。
サバサンドは3YTL(約279円)、ケバブサンドは3.5YTL(約326円)だったのだが、ここで私たちは大きな間違いをおかすことになる。この価格はドリンクとセットのものらしく、サンドを受け取った後ドリンクをカウンターからもらうように言われるのだが、お店の人があまり英語が上手でなかったことや、同じ店ながらサバサンドとケバブサンドの係の人が違っていて、サバサンドとケバブサンドは別々に支払うように言われ支払いに手間取ったりして、ドリンクを受け取らなかったのだ。しかも、私はレモンジュース0.5YTLをあとから別に購入したりしている。後で旦那が「ドリンクついていたらしい」と言うが、その時はホテルに戻ったときだったので後の祭りである。ここではまったくついていない。
売店前のベンチは、日陰がいっぱいで日向しか空いていない。他に座るところもないのでイスラムの黒い服を着た年輩の女性の横に腰掛ける。ベンチには日本の台所用洗剤のような容器に入ったレモン果汁が置かれていて、サンドに自由にかけていいらしい。日向に置いてあるのでちょっと躊躇したが、ケバブサンドにかけて食べたらレモン果汁が大変美味しくてびっくりした。ケバブサンドもサバもものすごくでかく、一個食べたら満足する。
ふと前を見ると、トルコ人らしい青年が私の足元を指差している。見ると携帯電話が落ちているが、これは私のではない。それを拾い上げ教えてくれた青年に「さーおる(トルコ語で「ありがとう」のくだけた言い方らしい)」と言ってお礼を言い、私の隣にいたイスラムの黒い服を着た女性の肩を叩いて携帯電話を差し出すと、彼女はそれを見て「これはものすごく私にとって大切なものなのよ。ありがとう、ありがとう」と英語まじりのトルコ語で何度もお礼を言い、私が青年が拾ってくれたことを言うと彼らにも「テシェッキュレデリム」とトルコ語でお礼を言った。その後英語で「どこから来たのか?」と彼女に聞かれたので「日本からです」と英語で答えると、「あなたに神のご加護がありますように、良い旅を」と言ってくれた。それを聞いてそれまでのちょっとナーバスになった気持ちが少しだけ晴れた気がした。
つづく
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