◇トルコ旅行記 〜6月4日 ガラタ橋散策とボスポラスクルーズ〜 ― 2007年07月23日 17時42分35秒
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ボスポラスクルーズの観光船から見た港周辺の景色。 |
■ガラタ橋散策
エジプトバザールをあとにして、スルタンアフメットに戻り地下宮殿を見ようと思ったが、せっかく来たのでガラタ橋を散策することにする。一階のレストランが並ぶ通路に入ると、金色の大きな箱が置かれている。何かと思ったら、コイン体重計である。ガイドブックに「街中で体重を量るおじさんがいる」と書かれていて、確かに二日目の朝スルタンアフメットで道に迷ったときに、道端に体重計を置いて椅子に腰掛けているおじさんを見かけた。こんなところで体重を量って何をするのだろうと不思議に思うが、コイン体重計まであるとは驚きである。しかもこの体重計は、ガラタ橋の通路の入口の両脇にそれぞれ置かれているのだ。こんな人通りの多いところでおおっぴらに自分の体重を量りたいと思うのだろうか。
ふと上を見ると、車が通る二階のところから釣りざおがたくさん糸をたらしている。中には魚を釣りあげている人もいたりして、のどかな風景である。
橋の中間あたりまでくると上にあがる階段があり、そこの踊場でなんとなくぼーっと新市街の方を眺めて休んでいると、通りすがりの西洋人が飲み終わったペットボトルを海を投げ捨てた。水面を見ると、観光客がかもめにやるために海へ投げ入れたパンが浮かんでいたりする。船がたくさん入る港にしては水はそれほど汚くないが、やはり観光客の心無い行為が海をきたなくしているのが悲しかった。
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コイン体重計。 | 新市街に向かって左側のガラタ橋の通路。ここはレストランの裏側になるので、比較的静かだ。 | |
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橋の上から釣りをしている。 | 水面にうかんだパン。海水は比較的綺麗なのに、こういったゴミが多かった。 |
ぼーっとしていると、通りすがりのトルコ人がなにやら私に話し掛けている。指差すところを見ると、かばんにひっかけていたサングラスが落ちそうになっていて、それを教えてくれたのだ。その人は私がそのことに気づくと、さっとその場を立ち去ってしまった。
気を取り直して橋の反対側の通路を通って旧市街へ戻ることにする。今まで通ってきた通路はレストラン街の裏側だったようで大変スムーズに歩いてくることができたが、反対側はレストラン街の表側なのでレストランの客引きがたくさん店の前にいて、通りかかる人に声をかけている。お腹をさすって「お腹がいっぱいだ」というボディランゲージをしながら歩いていく。声をかけてきた店の人は「フィニッシュ?」と聞いてくるので、「フィニッシュ」と答えるとそれ以上は突っ込んでこない。たまに「夕食のときにでもよっていってよ」と言う人もいるが、こういうときは笑顔でにっこり「機会があったらね」と答える。レストランの前では、「お腹がいっぱいだ」ということを伝えればいいのだということを学んだ。
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観光船から見たボスポラス大橋。 |
■ボスポラスクルーズの観光船に乗る
ガラタ橋の旧市街側に戻り駅に向かおうとすると、船着場では観光船がもうすぐ出航するといって客引きをしている。なんとなく疲れたのとせっかく来たので船にも乗ってみたくなり、観光船に乗ることを旦那に提案するが、旦那は「料金が高い」と渋い顔をする。船着場に書かれている料金は一人20YTL(約1860円)と書かれている。
念のため旦那がチケット売りに値段を聞くと、やはり20YTLだという。ガイドブックを見るとボスポラス海峡の船は7.57YTL(約698円)だと書いてあるので、これが本当だとするとかなりのぼったくりだ。しかし、船着場の看板に書いてある料金と同じことを係員は言っているので、この係員が嘘を言っているようには思えない。旦那は「ぼったくりだよ」と憤慨しているが、ガイドブックをよく見てみると7.5YTLなのはボスポラス海峡の定期船で観光船とは別のようだ。係員は「もう船が出てしまうから、乗るなら早く」と急がせる。確かにボスポラスクルーズは値段を交渉した方がいいとガイドブックには書かれているが、それは漁船のような個人でやっている船の場合のようなことも聞いた。ここの船はけっこう大きめな船なのだ。旦那は係員と何やら話してはいるが、値段の交渉をしているわけではない。ぼったくりだと思うなら自分で値段の交渉をすればいいのにと思うのだが、なにやららちのあかない話をしているようでいらいらする。私はこの時、トイレにも行きたかったのだ。
私は「トイレに行きたいから、乗るのか乗らないのか早く決めてくれ」と訴える。旦那は係員に「妻がトイレに行きたがっている」と言って断ろうとするが、係員は「トイレなら船にあるよ。もう出るから早く乗れ!」と言うので、はっきりしない旦那を尻目に私はそのまま船に乗り込み、旦那はそれを見てしぶしぶ二人分40YTLを払った。
船に乗り込み一番最初に「トイレはどこ?」と船員に聞くと、「地下だ」と言われて急いで地下に駆け下りる。地下は真っ暗で電灯のスイッチがどこにあるのかわからない。仕方ないので真っ暗なまま用をすませる。
後から男の人が降りてきて、私に「電灯のスイッチはどこだ?」と聞くが「知らない」と答えると、その人はなんだか何か言ってるようだが何を言っているのかわからない。表情を見ると「だったらおまえはどうやってトイレをしたのだ」と言っているようにも思えたが、それは答えるわけにもいかないのでそそくさと客室に戻ってしまった。
船の甲板の席はすでにいっぱいで、中側の空いている席に腰掛ける。船はまもなく出港した。船は、イスタンブールのヨーロッパ側とアジア側の間を航行して、ボスポラス大橋でUターンして戻ってくる。
途中で小型のクルーズ船が観光船をさっそうと追い越していくのが見える。中には少人数の人しか乗っておらず、個人で船を所有する金持ちのようだ。岸辺にイスタンブールの美しい建物や町並みが流れていき、遠くなる港には大きな船や小さな船がたくさん停泊している。市街地から離れると、山肌に住宅がぎっしりと建てられているのが見えてくる。アジア側の建物は別荘のような雰囲気で、個人用のクルーズがたくさん停泊しているのが見える。
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港のあたりに停泊する船。 | 山肌に建てられた別荘(?)。個人用のクルーズが並んでいる。 | |
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スルタン用の建物らしき白亜のお城(?)。実際、これが何かは失念した。 | クズ塔。軍事用の施設らしいが、今はレストランもあるらしい。 |
途中、向かいの席にトルコ人の年輩のおじいさんとその子供(おじさん)が来る。彼らは英語が話せないので私たちが何を言っているのかわからないらしく、私たちが地図を見ながら「あそこに見えるのはこれかなあ」などと話していると、地図を覗き込みながら場所を指差しながらトルコ語で「ここはこれで、あそこはあれだ」と説明してくれた。そして、ボスポラス大橋までくると「これは日本人が作った橋だ」と教えてくれた。
トルコ語はほとんどわからないが、NHKのトルコ語講座の本に書いてあったトルコのボディランゲージ一覧を見せると、彼らは大変嬉しそうにして一つ一つの意味を教えてくれたりした。
帰路の最後方でボスポラス海峡のアジア側の小島にあるクズ塔(乙女の塔)が見えてくると、「あれはとても古い灯台だ」ととても熱を入れて説明してくれた。
彼らはトルコの田舎の方からイスタンブールの観光に来たらしい。途中、今はドイツに住んでいるというおじいさんのもう一人の息子だというおじさんが来て、その人は英語が話せるのでやっとある程度の会話が成り立つようになったが、ガイドブックに書かれているトルコ語と英語である程度会話をすることができて、楽しいひとときを過ごした。おじいさんは「日本人に会えて話ができたことが嬉しい」と言ってくれたので、私たちも楽しいひと時を過ごせたことを感謝し片言のトルコ語で「サイェニズデ イイ ザマン ゲチルディム(おかげでとても楽しかったです)」と言いながらガイドブックに書かれているその文字を指差すと、ととても感激してくれた。
思いがけない現地の人との交流がとても楽しく嬉しかったので、旦那も一人20YTLが高くてぼったくられたかもしれないことを忘れることができたようだった。
つづく
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