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◇シコイワシの葛藤2009年04月16日 22時42分30秒

歯医者の帰りに、お昼ご飯をデパ地下のお弁当ですませてしまおうと、駅前のデパートに寄った。
お弁当を買ってふと魚コーナーを見ると、シコイワシが山積みになっている。ピチピチでピカピカした新鮮なもので、魚コーナーのおやじによると、その日の朝に近隣の漁港で捕れたものとのこと。

私の住んでいるあたりは、今がシコイワシの旬らしいのだが、これまで買ったことがなかった。その理由は『めんどうくさいから』。
シコイワシはカタクチイワシともいわれて、煮干の原料となる。なので大きさは、だいたい煮干より一回りくらい大きいくらいの小さな魚である。
私がこの町に来た当時、魚屋で「シコイワシ」と書かれたその魚の名前を、私は『なまっている』と思っていた。私はこの魚を「ヒコイワシ」と覚えていたためだった。しかし、なまっているのは「ヒコイワシ」のほうで、「シコイワシ」が正しいらしい。

地元の食材はできるだけ食べたいと思うのだが、このこまごました魚を大量に、いちいち頭と内臓をとるためにさばくのは、気が遠くなる作業だ。
先日、別なスーパーで500gで158円の30%引きで売っていたので、今年はつみれに挑戦してみようと購入したのだが、500gでもさばきの作業はやはり気が遠くなり、しかもスプラッタなものだ。
そして、作った大量のつみれは、4日かけて食べきったのだった。

今回のイワシは、先日のよりも2周りほど大きい。山積みされたピチピチのピカピカは1kgで298円。一皿で1kgらしい。
私がイワシの前で逡巡していると、年配の奥様が「つみれにするから、一皿ちょうだい」と魚コーナーのおやじに切り出した。
「へい、ありがとうございます。いっぱいおまけしちゃうよ」と、おやじは目の前の皿を防水加工した紙袋に移し、さらに手元にある別な皿から3つかみほど袋の中に入れていく。あれは、どうみても2kgくらいにはなっているはず。
そういえば、先日行ったスペイン料理屋で、オードブルに出てきたオイルサーディンは絶品だった。あれだったら保存しておけるぞ。
私の中の天秤ばかりは、〔めんどうな作業〕≦〔大量のおまけ+手作りオイルサーディン〕で〔おまけ+オイルサーディン〕に軍配があがる。

「私も1kgください」というと、魚コーナーのおやじは、「奥さんは何作るの?」と聞くので、「オイルサーディンを作ろうと思って…」と答えた。
おやじは一瞬だまって、「その料理はわかんねえから、失敗したときの保険にいっぱいおまけしとくよ」と、5つかみほど私の袋にイワシを入れてくれたのだった。
えええ、そんなに? うれしいけど、いったいどんだけ入っているのか…。

家にもどって、オイルサーディンのレシピを調べ、足りない材料を買いに行く。
イワシは結局、2.5kgほど袋に入っていた。その日のおかずに、マリネも作ろうとか、いろいろ考えつつも、とりあえず頭とはらわたを取り去る作業をもくもくと続ける。
しかし、そのうちに具合が悪くなってきてしまった。持病の腹痛が私を襲い、うんうんうなりつつも「イワシを今日中にさばかねば…」とあせるばかり。その日旦那は早く帰ってきたので、イワシのさばき作業は旦那にバトンタッチされる。

ベッドで横になりつつ、「そういえば、イワシは足が早い(いたむのが早い)んだっけ」と魚コーナーのおやじの大量おまけの謎に気がつく。
魚コーナーのおやじとしては、できるだけその日のうちに売り切ってしまいたい。だけど、私が迷ったのと同じ悩み
「栄養あるのはわかってるんだけど、めんどくさいのよね~」
は、多くの奥様方の共通したものに違いないのだ。

かくして旦那は、2時間かけて全てのイワシをさばき終え、私がテーブルの上にいくつか置いてあったレシピのうち、アンチョビを元に作るオイルサーディンというのを選び、イワシを漬物器に入れ、まずは塩漬けにしたのだった。
できあがりは半年くらい先の様子。すぐに食べたかったと思ったときには、時すでに遅かった。
まあ、レシピの中では一番保存がきく方法だったし、これはこれで楽しみでもあるのだが。

今、イワシは我が家の冷蔵庫の野菜室にいます。


●参考にしたアンチョビとオイルサーディンのレシピ
ほぼ日刊イトイ新聞
イタリアンマンマの直伝レシピ
イタリア家庭料理と毎日のくらし。
レシピその84 小イワシの塩漬けとオイル漬け~チェルヴィアの塩田~
http://www.1101.com/italian_mamma/2009-02-01.html



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