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◇イギリス ポストパンク Joy Divisionの記憶を検証する映画2009年09月24日 12時19分58秒

 
 
70年代後半に、イギリス マンチェスターで活躍したJoy Divisionの残されたメンバーやその周辺の人物達のインタビューと、当時の映像を織り交ぜたドキュメンタリー映画「JOY DIVISION」と、そのバンドのヴォーカルで23歳の若さで急逝したイアン・カーティスの生涯を描いた映画「CONTROL」を立て続けに見た。

Joy Divisionは、その後のNew Orderの世界的成功で、追随する形でその存在を知ったわけだが、個人的にはどうしてもNew Orderの曲を聴いた印象とJoy Divisionの曲を聴いた印象がマッチせず、この二つのバンドがビフォーアフターの関係であることが、長年信じられなかった。
メロディだけ聞くと、二つのバンドにそれほど大きな隔たりがないことは理解できるのだが、曲の印象を180度近く違えて聞こえるくらい、イアンの声のインパクトは大きかった。

それが、今回見た二つの映画で、長年自分の中で疑問に思っていたイアン・カーティスというヴォーカリストの存在が、ある程度くっきりと形作られたように思う。
それが正しいものなのかどうかは判らないが、少なくとも製作者側の意図する印象は私にも届いたのではないか。

しかし、この手のアメリカやイギリスのドキュメンタリーに出てくる人たちというのは、なぜだか非常に胡散臭く思えるのはなぜだろう。テレビショッピングに出てくる、商品のコメントのために出演する名前も知らない有名人と同じくらい胡散臭い。
と思っていたら、「なんだ同じじゃないか」と気がついた。
テレビショッピングに出て商品を売るための宣伝をする人と、過去の記憶を切り売りして過去の産物を売ろうとする人々。
一つだけ違うのは、過去の産物は、それを見る人たちの記憶にある種の思いいれがある場合が多いことだ。
もっとも、彼らのおかげで私のように長年疑問に思っていたことに終止符をうつことができたり、懐かしい映像を見ることができるわけなので、テレビショッピングのコメンテーターと一緒にしては申し訳ないのかもしれないが。

また、映画「CONTROL」に関しては、ずいぶんとイアンの奥さんよりの目線で作られた映画だなあと思っていたら、原作者とプロデューサーが奥さんだった。
少なくとも、この映画がイアン・カーティスの映画なのであれば、あのラストはないのではないかと思うのだ。火葬場(?)で子供を抱えて「誰か助けて」と泣き叫ぶイアンの妻デビー。このラストシーンで、この映画がデビーのものであることが象徴付けられているように感じた。
いや、実際に原作が奥さんなのだし、プロデュースもしているのだから、この映画が奥さんのものであることは間違いないのだが、事情を知らずに見る側は「Joy Divisionのイアン・カーティスの映画」として見るのだから、これはあまりにも一方的すぎるように感じた。
監督は有名なフォトグラファーで、この作品が処女作らしいが、彼はそこまで考えなかったのだろうか。それとも意図的なものなのだろうか。
いずれにしても、「ゴシップ記事のきれいな再現フィルム」といった印象。

こうして感想を述べてしまうと、二つの映画に否定的感情のようだが、実はそうではない。前述したとおり、内容は別としてこの二つの映画で私の長年の疑問ははれたのだ。

なぜイアンは死んでしまったのか。
なぜJoy DivisionはNew Orderになったのか。
イアンの痙攣ダンスと呼ばれるダンスがどのようなものだったのか。
ポストパンクと呼ばれた当時のマンチェスターの様子…

当時、パンクムーブメントの端っこを拾い、その後New Wave、第二次ブリティッシュインベイションと続くムーブメントを体感し、魅了された私にとっては、日本にいて情報のかけらしか届かなかったものが、ある程度の形になってくれたことが嬉しかった。
映画として見てしまうと、三流のラブストーリーでしかないものが、それが実話に基づき、しかもその主人公を知っていると、その内容が違う情報に変わることを確認したのだった。


「JOY DIVISION」オフィシャルHP
http://www.joydivision-mv.com/

「COMTROL」オフィシャルHP
http://control-movie.jp/Main.html

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