◇魔法のけむりの漫画小冊子 ミステリーマガジン3冊 ― 2016年11月03日 03時36分50秒
魔法のけむりについていた漫画小冊子【クリックで拡大】
前回でも書いたが、私の実家の押入れに眠り続けていたお宝(ガラクタ)の中でも、多分一番歴史があって、しかも一番価値のわからないものがこれだろうと思う。
私が水木しげるなどの妖怪漫画にはまり、貸本漫画などの存在を意識したのは上京してからのことなのだが、何故これを後生大事にとっておいたのかは自分でも解らない。
この小冊子、駄菓子屋で売られていた魔法のけむりについていたと記憶しているのだが、私の周囲の人達は記憶にないらしい。
魔法のけむりとは、時代や地方によって名称が違うようで、「妖怪けむり」とか「ふしぎなけむり」とか呼ばれていることもあるらしいが、仕様は全て同じである。
厚紙にねちゃねちゃしたものがついていて、それを指につけて指をつけたり放したりすると、煙のような何かが指から発生するというシロモノである。
よく見ると繊維質のふわふわしたものなのだが、これは樹脂ゴムらしい。
指から煙が出て不思議な気分にさせてくれるのだが、当時は煙=謎のものというイメージがあり、怪物や幽霊などは煙的な何かを伴って登場したりする描写が多かった。
ようかいけむり / asabacco
種明かしはこちら。
博物館レポ...と理科っぽいなにか 2015年08月26日
火のないところに「ようかいけむり」は立つ!
私の母の実家の近くにどんぐり屋という駄菓子屋があり、いつも和服のおじさんが店番をしていた。
これはそこで購入した魔法のけむりについていたもの。
当時は、幼稚園か小学生低学年だったので、1970年代初頭から中ごろに購入したものと思われる。
魔法のけむりは最近でも駄菓子屋などにあるらしいが、現在はミステリーマガジンはついていないらしい。
私が持っているのは3冊。
『ミステリーマガジン』
きゅうけつきドラキュラー
フランケンシュタイン
あくまムン
である。
貸本漫画家の研究家でもある唐沢なをき氏のブログを見ると、これらの小冊子のことについて触れている記事があった。
からまんブログ 2009年12月11日 「ゆうれいのちかい」
唐沢氏は当時、角川書店の『怪』で「妖怪図鑑図鑑」という連載の中でこれらの小冊子のことを取り上げていたらしい。
記事の中では、小冊子はやはり魔法のけむりなどについていたもので、写真のタイトルの他に「のろいのミイラ」「ゆうれいのちかい」というものがあるらしいことが判る。
「のろいのミイラ」はなんとなく記憶にあるのだが、「ゆうれいのちかい」は記憶にない。
作者がどこにも書かれていないのだが、絵柄から見て少なくとも3冊とも同じ作者ではないかと思われる。
ページ数は全て中身は11ページ。セリフなどの文字は全てひらがなとカタカナで統一されている。
フォントは、当時としては珍しい丸ゴシ系が使用されているのが興味深い。
きゅうけつきドラキュラー【クリックで拡大】
「きゅうけつきドラキュラー」
“人里はなれた一軒の家に住む女(西洋人の風貌)のもとへ、夜突然に鍵をかけたはずのどわー(ドア)が開き、吸血鬼ドラキュラーがやってくる。吸血鬼ドラキュラのストーリーをこれでもかと凝縮してあらすじだけかいつまみ、11ページに収めたものである。
女は哀れドラキュラーの餌食に。
そこへかけつけた女の兄(どうみてもアジア人)がドラキュラーに拳銃をはなつが、ドラキュラーはびくともしない。
兄は持っていた十字架を見せると十字架から煙が発生し、ドラキュラーは煙に飲まれて溶けてしまう。
後には一匹のこうもりが残り夜明けの空へ消えていった。”
フランケンシュタイン【クリックで拡大】
「フランケンシュタイン」
“ある古いヨーロッパの町に住む博士が何かの研究をしていた結果、完成したのはフランケンシュタインだった。こちらも、フランケンシュタインのストーリーをこれでもかと凝縮してあらすじだけかいつまみ、11ページに収めたものである。
博士は自分をバカにした町の人間に復讐するため、フランケンシュタインをけしかけるが、町の人達は博士をバカにしたのは間違いだと主張する。
そこへ神父が出てきて博士を説得しようとするが、博士の怒りは収まらない。
そのやりとりを聞いていたフランケンシュタインは、博士に襲いかかる。
博士をやっつけたフランケンシュタインはどこからともなくただよってきた煙の中に消えていった。”
あまくムン【クリックで拡大】
「あまくムン」
“アマゾンの奥深いジャングルにボンドとビリーの2人のアメリカ人探検家がやってきた。こちらはオリジナルのストーリーなのだろうか。この冊子だけ「カイキスリラー」と表紙に書いてある。
現地人は彼等にこれ以上は先に行けないと忠告する。
彼等の目の前には洞穴があり、そこには悪魔ムンがいるから入るとたたりがあると現地人は言う。
しかしボンドは銃で現地人を殺し、2人は洞穴に潜入する。
洞窟の奥には2人が目指すお宝があり、その奥には悪魔が埋められている。
山の様なお宝を目の前にし、欲に目がくらんだボンドはビリーを銃で殺してしまう。
ボンドがお宝に手をかけたとき、悪魔ムンが「ムン」と蘇りボンドを一撃にして殺してしまう。
果たして洞窟のお宝は守られ、悪魔ムンは再び土に埋まるのであった。”
スリラーとあるがスリラーではないし、ムンもお宝を守る守護神で悪魔ではないように思えるのは気のせいか。
他のふたつは魔法のけむりのおまけらしく怪物は最後に煙をまとっていなくなるが、悪魔ムンは煙が出てこない。
このあたりもなかなか興味深いところである。
いずれにしても、この3冊の中では一番ストーリーがまとまっていて面白かった。
以上が、手元にある3冊のミステリーマガジンのあらすじである。
作者名はどこにも書いていないのでわからないが、唐沢氏が書いた「妖怪図鑑図鑑」が掲載されている『怪』は中古で入手できるようなので、購入してみようと思ったりする。
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