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◇春一番の江ノ島2008年02月25日 00時04分35秒

春のかすみの中の夕刻の富士山
 
 
昨年イスタンブールに行ったときに同じホテルで知り合った、ドイツ在住のドイツ人と日本人のEさんご夫婦から里帰りされると連絡があり、江ノ島で会う約束をした。去年の夏に帰国されてから半年振りの再会である。旅行中に知り合いになったご縁だが、お互い遠くに暮らしているのに、帰国の度にこうして連絡をもらえるのは嬉しい。

約束の日の江ノ島海岸は強風で波がもんどりうっている。海岸と江ノ島を結ぶ橋を車で走っていると、波しぶきがフロントガラスにかかるくらい。天気は良く気温は低くないのだが、風のせいでかなり寒く感じる。
約束した江ノ島の入り口の橋の欄干のあたりで待っていると、風が強いのにたくさんの観光客が行き来している。中には半そでのシャツ一枚で歩いてくる外国人もいたりして、見ているだけで寒くなってしまう。彼らが通り過ぎるときに剥き出しの腕をみたら鳥肌がたっていて、何故そんな無理をしているのか不思議になってしまう。

Eさんご夫婦が約束の場所に到着し、お互い再会できたことをお互い握手して喜びあった。江ノ島がお好きだということでこの場所を指定されたのはEさんだったが、江ノ島の中に入るのは数年前以来とのこと。ちょっとだけ観光しましょうと、参道を歩きエスカーに乗ることにした。

江ノ島はここ10年のうちに激しく変貌をとげている。昔は昭和ちっくな趣の残る場所だったが、いまやおしゃれな店が建ち並び、テレビなどでも「東京の近場の観光地」として頻繁に紹介されているため、テレビで話題のたこせんべいの店などは行列ができるほどだ。たこせんべいに並ぶ行列を横目に見て、エスカー乗り場に向かい、神社で参拝する。
辺津宮の前で小銭を洗い、穢れを清める輪くぐりをする。この輪くぐりも最近できたものだ。中津宮へ向かうエスカー前の花畑の通路に梅の木があり、五分咲きといったところ。奥様のMさんは、梅の香りがするとおっしゃっていた。

江ノ島の鳥居あたりではまだ風が強かったが、中に入ると防風林のおかげか風をそれほど感じない。最後のエスカーに乗ってサムエル・コッキング苑を抜けると、昔ながらの江ノ島の船宿街になり、やっと安心できる感じだ。この日Mさんはひざを痛めてらしたので、風も強いし岩屋に降りるのはやめましょうと、その手前でお茶をすることにした。途中、江ノ島名物の中村屋の海苔羊羹を食べ歩き用に切ってもらったのをほおばりながら、奥津宮で八方睨みの亀などを見て、岩屋の降りる手前の「あぶらや」という甘味処で休憩することにした。

彼らとは、イスタンブールのホテルの食堂で声をかけられ、ビュユック島でご一緒したのである。ビュユック島とは赴きはもちろん違うが、車の乗り入れが禁止されている江ノ島の中を4人で歩いていると、なんだかそのときのことを思い出してしまう。心太やおやきをほおばりながら、最近のヨーロッパの様子や日本の様子などをとめどなく話していると、すぐに時間がたってしまい名残惜しい。

帰りは参道ではなく、裏道から鳥居まで抜ける道を通って帰る。夕刻になって遠くのかすみがだいぶ晴れてきて、茅ヶ崎側のえぼし岩や丹沢、富士山が一望できるところにくると、春のかすみのむこうにぼんやり富士山の姿が見えた。
帰宅してニュースを見ると、この日の強風は春一番だったことを知って、まだまだ寒いけど確実に春がやってきているのだと思った。



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