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◇音と匂いの記憶2008年03月07日 04時29分16秒

三歳頃のことは比較的よく覚えているほうだと思うのだが、普段はほとんど思い出すことはない。
この頃、私は線路沿いのちょっと奥まったところにある家に住んでおり、道路を出るとすぐに踏み切りがあった。線路沿いのちょっと離れたところには、木材を汽車で運んできたものを積んでおく木場があり、風のある日は遠くから木材の匂いがしたりしていた。
夜になると二階で一人で寝かせられるのだが、夜行列車の走る汽笛の音や、木場で夜間作業をする音が遠くから聞こえてきて、なんとなく怖かったり、その音があることで安心したりした。
この頃は子供だったので夜出歩くことは稀だが、たまに母と出かけて暗くなってから帰ってくると、闇の中に果てしなく続く踏み切りのずっと向こうが気になって不安になったり、闇の中から木場の匂いがしてきたりしたことを思い出すのだ。まだまだ街中でも暗い場所が多く、闇が怖いと感じていたのだ。

現在は家の前を幹線道路がはしっており、そこはトラックの主要道路となっていて、夜間でもトラックの走る音がよく聞こえる。トラックが走るとき汽笛のような音がすることがあるのだが、夜寝ているときにこの音を聞くと、その頃の記憶がよみがえってくることがある。
暗い闇の中に続く線路と、その向こうから聞こえてくる汽笛、そして木場の匂い、そして闇の向こうに感じる気配やそのとき自分を包んでいた感覚が一気に自分の周囲を包んでしまう。木の匂いなどするはずもないのに、実際に嗅覚は木の匂いを感じていたりする。

音や匂いの記憶は、何かに関連されて印象づけられていることが多く、それが記憶の引き出しを開く鍵になっていたりするのだろうと推測している。このこと以外でも、音や匂いがきっかけで思い出すたわいもない記憶というのは、けっこう多い。
ある曲を聞いていて、なんとなく別な曲を思い出して聞きたくなったり(でも、タイトルやアーティストが思い出せなかったり)、ある匂いをかいで忘れていた人を思い出したりする。

先日テレビで、「亡くなった人の記憶は声から忘れていく」という話をしていたが、このことを聞いたときに24年前に亡くなった友人の声や、死んだ祖父母の声を思い出してみた。
正しいかどうかは別として、私を呼ぶときの声や、話し方などまだうっすらながら思い出せるような気がしてちょっとほっとした。
友人の声を思い出したら、当時流行っていた曲が頭に浮かんできて、もうれつに聞きたくなってたまらなくなった。

◇まつだ桜まつりに行く2008年03月09日 03時46分51秒


まつだ桜まつり会場から見た風景。咲いているのは、早咲きのかわづ桜と菜の花。


なんだか天気もいいので、かわづ桜を見に行こうということになり、車を走らせて神奈川県松田町にある、松田山ハーブガーデンのまつだ桜まつりに行くことにした。

朝は早く起きたものの、いろいろ用事をしているうちに11時半になり、結局昼頃の出発。東名高速に乗って大井松田ICで高速を降りる。HPの案内では会場までは車で5分と書いてあるが、誰でも考えることは同じのようで、細い国道はものすごい渋滞である。やっと山の入り口までたどりつくと、駐車場が満車なので第二駐車場に行くようにと誘導の人に指示される。山とは反対にある川沿いの駐車場に行くが、駐車場に入るまでに30分ほど時間をとられる。
川沿いの駐車場のまん前に黄色い小屋があり、でかい文字で「おとり」と書いてあるのが、なんだかわからず不思議である。よく見ると“おとり”の大きな文字の下に“北村おとり”と書いてある。そういう名前なのだろうか。それとも鮎釣りか何かのおとり漁用の鮎でも売っていて、今は時期ではないので店を閉めているのだろうか(たぶん後者)。

「おとり」の謎を残しつつ、川沿いの駐車場からシャトルバスに乗って会場に行く。シャトルバスの料金は一律150円。途中の松田の町並みを見ていると、魚屋さんの前にあるベンチに「天然ぶり入荷」「おしつけ入荷」というプレートが貼ってある。「“おしつけ”ってなんだ?」と旦那に聞くと、旦那の後にいた知らないおじさんが「“おしつけ”って書いてあるねぇ」と旦那の代わりに返事をする。そのおじさんが“おしつけ”の正体を知っているのかと思ったら、そのおじさんは自分の奥さんに「“おしつけ”って書いてあるのがなんだかわかんないんだよ」と会話を続けている。こちらの会話をとられてしまったみたいで、なんだかおかしい。松田町は謎の多いところである。



 
“おとり”の看板。   “おしつけ”入荷のプレート。


山のふもとの方から会場を見ると、菜の花の黄色い色とさくらのピンクが整然と並んでいてきれい。バスの中から途中のコンクリートの塀のすきまからふきのとうが顔を出している。20分くらいでバスは会場へ着いた。
会場はものすごい人だかりで、食事をする場所も桜の植えてある場所も身動きがとれない。13時を過ぎていたのでまず腹ごしらえをしようと、大食堂と書いてあるほうへ行く。お土産の桜まんじゅうや、かまぼこの串焼き、ごへい餅などを売る売店が並ぶ奥に食堂がある。中にはそばやうどん、お好み焼きを売る屋台が並んでいるが、屋台の前のテーブルには座る場所はないようだ。大食堂の手前に、テントの中に大きな囲炉裏をしつらえそこで魚を焼いているお店があり、ちょうどお客が出たところだったのでそこへもぐりこむ。山芋のだんご汁というのが美味しそうだったので、そばとだんご汁を注文する。醤油で薄く味付けされた魚ダシの汁の中に、山芋をすってつみれのようにしたものが入っているのだが、これがもちもちして大変美味しい。そばも田舎そば風できちんとダシがとられている。山菜のトッピングも嬉しい。




食堂の簡易囲炉裏の中。串にさされて真っ黒になっている小さな魚は「かじっか」という魚らしい。これも不思議に思っていると、隣で酒を飲んでいたおじさんが教えてくれた。春に川底にくっついている魚とのこと。食べてみようかと思ったら「500円は高いよ」とおじさんに言われてやめてしまった。


会場へ入ると、遊歩道からはずれた立ち入り禁止区域でお弁当を食べている人、写真を撮っている人など無秩序状態。ふだんこの山は子供の遊び場として山肌を利用した滑り台やジャングルジムなどがある場所のようで、滑り台をすべりたい桜そっちのけの子供がぐるぐるしていてなんだかすごいことになっている。唯一通路に左側歩行の決まりがいつのまにかできていて、昇ってくる人と降りる人がスムーズに行き交えるようになっている。
食堂のおばさんが、「こんなに混むなんて予想外。昨日朝日新聞に載ったし、テレビでも紹介されたから仕方ないねえ」と言っていた。新聞をとっていないのでそんなことは知らなかったのだが、旦那はasahi.comに載っていたと後で白状していた。

人のいないすきをついて写真を撮ったり、景色を眺める。菜の花は満開で、その上にかわづ桜がたわわに咲いている。普通の桜よりもずっと花の色が濃くなんだか力強い印象がある。しばらく遊歩道を歩きながら桜を楽しんでいたのだが、とてもじゃないがゆっくり花を観賞できる雰囲気ではないので早々に引き上げることにした。
遊歩道の脇に小さな春の花がたくさん顔を出していて、本当はそういう花も一緒にゆっくり見たかったのだが…。



 

かわづ桜。ソメイヨシノよりも花の色がだいぶ濃いが、木の幹とたわわに咲く感じは桜そのもの。
 
桜の木の下に群生している菜の花。今が満開。
     
 

オオイヌノフグリ。可憐な花なのに、どうしてこんな名前なんだろう。

 
名前を知らない花。小さな蘭といった感じ。赤くてきれいだった。


帰り道にあちこちで「リピーターが多いSA」と話題の海老名サービスエリアに寄ったのだが、いったい何がいいのかちっともわからず、無料サービスのお茶と化学調味料の味のするしそチーズかまぼこと焼きドーナツを食べる。高速を降りてから出かけに飲んだ花粉症の薬が効いてきてモウレツに眠気がさしてきて、帰宅してすぐに寝てしまった。

せっかくいったのに人だかりだったのは残念だったが、来年は平日に休みをとっていけたらきっとゆっくり見られてきれいだと思ったのだった。
まつだ桜まつりは、今週いっぱいの予定だったのが16日まで延長されているらしい。夜にはライトアップしたりしているらしい。


松田町 まつだ桜まつりHP
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~matsuda/06sakura.htm
※上記リンク切れのため、下記のリンクを参照してください(2010.02.10)

松田町観光協会ホームページ
http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~matsuda/

◇サンドブラストで口琴時計を作る2008年03月22日 00時26分02秒

 
 
箱根強羅の強羅公園内にある、クラフトハウスでサンドブラスト体験をしてきた。サンドブラストとはガラスに模様をマスクし、そこに砂を吹きかけて模様を彫りこむという手法である。
ガラス素材としてはグラスやジョッキなどの中に時計があったので、私は行く前から時計を作ろうと模様の素材を用意していった。もちろん、現地でもさまざまな模様が用意されてはいるのだが、せっかく作るのだから好きな模様を彫りこみたいと思い、文字盤のところに口琴をあしらった口琴時計を作ることにしたのだ。
Illustratorで口琴の画像を取り込み、ベクトルでアウトラインをとって模様の素材を作る。せっかくだから、色々な国の口琴の特徴を出せるように作ってみた。最初はきっちりとデザインしようと思ったのだが、時計の素材になるガラスのサイズがわからなかったので、だいたいの予想をたてて画像を作っていった。

いざ現地に行ってガラスを見ると、時計用に用意されていたガラスは思ったより小さかった。出されたガラス素材の中から比較的大きめ18cm×11.5cm程度のガラスの板を選んだ。しかし、私がデザインしたのは正方形か円形用のものだったので、文字盤にあたる部分のみ抽出して作ることにした。

作業方法の説明では、まず鉛筆でトレイシングペーパーに模様を写し、それをガラス一面に貼り付けたゴムテープに転写する。転写した部分のテープをカッターで切り取り、切り取った部分に砂を吹きかけて白く彫りこむというもの。
私が用意した口琴の絵は、18cm×11.5cmの時計としてはかなり大きめだったのだが、なんとかレイアウトを変更すれば絵を縮小せずに入れ込むことができたので、そのままトレイシングペーパーに写しこむ。だがすぐに鉛筆の先が丸くなって細かいところがなかなか書き込めない。鉛筆の芯をけずりながら作業をするが、すぐにその作業自体無駄であることが判明する。ゴムテープを切り取る際に、細かいところがうまく抜けないので、ディティールをかなりデフォルメする必要が出てきたのだ。
スタッフの人の話だと、テープを切り取るときは一筆書きをするように一気に切り取るほうが綺麗にできるといわれたが、そんな器用なことはできない。カッターは細かい作業ができるようなものだったが、細かい個所のゴムテープがなかなかうまくはずせなかったり、切り始めと切り終わりの個所が微妙にずれていたりしてなかなか上手にできない。細かい模様であればあるほどこの作業は大変だった。
なんとかごまかしながら、約一時間半ほどの作業で砂の吹きかけまでこぎつけた。スタッフの人がサンドブラストの機械にかけてくれた後、全体を覆っていたゴムテープをはずし、いざけずられたところを見ると、カッターのエッジがでてギザギサしてしまっている。でも、全体のバランスもそこそこだし、初めての作品としてはまあ良いほうだろうと妥協したのだった。

ちなみに、一時の位置からサハのホムス、ノルウェーのムンハルペ、フィリピンのクビン、アルタイのコムズ、ベトナムのンチャン、旦那のオリジナルデザインの口琴、中国雲南省のホホ、オーストリアのマウロトロンメル、アイヌ民族のムックリ、キルギスのテミルコムズ、インドのモルチャンとなっている。本当は国の名前と口琴の名称も入れたかったのだが、細かすぎてちょっと難しかったのと時間がなかったので断念した。時計の針も金色の方がよかったのだけど、金色の針は短いのしかなかったので、銀色になってしまった。

帰宅してから時計のムーブメントを取り付け飾ってみると、まあまあ良いのではないかと思ったりする。


箱根強羅公園 クラフトハウス
http://www.crafthouse.org/index.html

◇夜桜見物20082008年03月30日 01時17分02秒

今年の夜桜
 
 
今年は梅の季節が遅いなと思っていたら、いきなり暖かくなってあっという間に桜が満開になってしまった。いつもの年だったら、梅の季節が終わってこぶしやもくれんが膨らみだし、ミズキの花がちらほら家の庭に見られたなと思った頃からテレビで「桜前線」という言葉が頻繁に聞こえ出すのに、梅の季節が終わる頃から一気に花々の季節になってしまった気がする。
ぼやぼやしているうちに、「関東地方で桜が満開」という言葉を聞いたのがおとといのことだった。
なんとなく、準備もしていないうちからいきなり春爛漫という感じであるのだ。3月の始め頃から、空気がぬるくなってきて、お天気の良い日などは花粉症でなければふらふらと散歩にでも出かけたいと思うくらいの陽気だったのだが、桜に関しては不意打ちを食らわされた気分。まだ桜を見るには心の準備ができていない気がしてしまう。

桜が見ごろの週末である今日は、旦那が昼に一人で用事を作ってしまったため、近所の桜の名所を夜桜見物で周ることにした。
いつ見ても思うが、この時期の桜はひどく生気あふれて見える。花の季節にここぞとばかりにエネルギーを放出しているかのようで、昼は生き生きと、夜は生々しくさえ思える。夜は他の生き物が眠っているせいか、余計に桜のエネルギーで圧倒されてしまう。



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