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◇ロックのカテゴリーの整合性について考える The Strypes2013年04月26日 12時51分33秒


The Strypes - Blue Collar Jane
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最近イギリスで注目されているバンドThe Strypesが来日するに合わせて、日本でのテレビ番組にも出演するという話をネットで知り、録画をしてみたりした。
The Strypesは、最近よく聞かれるミクスチャーロックのようなカテゴリー的にどう解釈していいのかわからないような音楽ではなく、60年代スタイルのブルースロックを正統的な手法で演奏するバンドらしい。
しかも若干16歳。
詳細は私がここでグタグダ書き連ねるよりも、どこかのサイトで確認したほうがより正確な情報が得られるだろうから割愛する。

私が最初に彼等の曲を聴いたのは、渋谷陽一のFMラジオ「ワールド・ロック・ナウ」(余談になるが、この番組名はそろそろどうにかしてほしいと思う。ある意味「若いこだま」より恥ずかしいような…)。
一番最初の印象は、「The Jamみたい」だった。
The Jamの印象を常に受けるバンドは他にもあるが、まんまThe Jamのテイストを再現しているような16歳の小僧にちょっと興味を持った。
ただ、世間の評価と私が感じたものにちょっとした違いがあり、なんとなく違和感を持っていた。

そういうわけで、普段は見ない日本テレビの「スッキリ」というワイドショーをチェックする。
印象としては、非常に不躾に見えるおっさん二人(加藤浩次とテリー伊藤)に不躾な対応をされても、まったく動じず非常に淡々と質問に答えていく。
ROロンドン特派員の児島さんが「非常に礼儀正しい若者」と評したのがうなづける。
タイトな三つボタンのジャケットなどを着ているが、バリバリのモッズスタイルというわけでもない。
髪型も、くるくる巻き毛がかわいかったり、黒髪がいかしていたりするが、ごくごく普通な感じ。
腕を組んだり、ズボンのポケットに手を突っ込んでいるのを指摘されはするが、この程度はちょっと生意気な風を見せているだけという印象だ。
ものすごい優等生が無理してツッパって見せているようにも見える。なんだこいつら実は「いいこ」なんだな。
こんな風にソツく自分を良く見せる手腕に長けているところは、イギリスも日本も“最近の若者”は同じなんだな。などと、おばさんぶりを発揮しながら録画した映像を見ていた。

ふだんはカヴァーが多い中、今回出た新譜のタイトル曲「Blue Collar Jane」はオリジナル曲とのこと。
演奏しているところを見ていくにつれ、私が感じていた違和感がなんとなく解ってきた。
私はThe Jamっぽいと思ったのに、彼等の評価が「ブルースロック」であったからだ。
The Jamの初期はパンクにカテゴライズされ、後にネオ・モッズとも言われていたからあまり意識もしていなかったが、私は60年代のモッズ系のバンドを「ブルースロック」だとは思っていなかったのだ。
私の中のブルースロックは、アメリカ南部のジョニー・ウインターだとかスティーヴィー・レイヴォーンのようなベタベタの白人ブルースの印象が強かった。
イギリスに影響を感じるものでも、せいぜいボブ・ディランのようなものがそうだと思っていた。イギリスではそれらの影響を受けてはいるものの、ブルースロックとはすでに別な音楽という認識でいた。ローリング・ストーンズやアニマルズはわりとアメリカのものに近く感じてはいたが、ヤードバーズやスモール・フェイセズ、ビートルズなんかは別物だと思っていたのだ。
だから、それらの影響を受けたThe Jamもまたブルースロックとは無縁のものだと思っていた。

しかし、近年はカテゴリー自体が崩壊しているという認識だったから、これがブルースロックの影響下にあるといわれれば「ああ、そうなんだ(????)」という感じ。彼等の音楽をブルースロックと呼ぶことには違和感を感じずとも、「でもThe JamっぽいのにThe Jamはブルースロックじゃないし~」と整合性がとれなかったのだ。

私たちが聞いていた音楽が、いかにきっちり分類分けされており、それがいかにいい加減なものだったのか、近年のリバイバルやミクスチャーと言われるものを聞いていると認識させられる瞬間があったりする。
今回のもそのパターンだが、ここまではっきり認識させられたものもなかったかもしれない。

The Strypesの曲は、歌詞もイギリスっぽいし、演奏もごくごくソツない感じ。30年若かったら狂喜乱舞していたかも。
ただ一つだけいえるのは、最近よくあるいろんなスタイルの曲を「インスパイア」という名のもとで構成されたようなものではなく、ごくごくストレートに自分たちの影響を受けた音楽を表現している素直さは非常に好感がもてる。
このストレートな姿勢とソツない感じが、往年のロックスターをメロメロにする一つの要因なのかもしれない。

メンバーは思ったよりも背が低かったり、肌がつるつるだなあとか思っていたが、超絶美少年系がおらず四人ともそこそこ美少年というところもソツがない感じ。
アイルランド系とのことなので、あと5年もしたらギャラガー兄弟みたいに眉毛がつながったり、やはり10代でデビューしたアッシュやアークティック・モンキーズみたいに、がたいがでかくなって少年らしさがみじんも感じられなくなっていくんだろうなと思うと、はじける少年らしさ満載の今が旬なこのバンドにちょっと注目してみようかと思ったりした。

オリジナル曲だという冒頭映像の「Blue Collar Jane」だが、どうしても下の曲にしか聞こえない。これは私の気のせいだろうか(まあ、これも“音楽の偶然”ということなのかも)。
「スッキリ」のインタビューで、「60年代の曲よりも早い」というようなことを言っていたが、少なくとも70年代よりはテンポが遅くて、とりあえず中をとっているようなところもソツがないと思ってしまったのだった。

追記(2013年4月30日火曜日):
26日金曜日に、テレビ朝日「ミュージックステーション」にも出演したが、タモリはほとんど彼等に構うことなく映像紹介と演奏のみでコーナーが終了してしまった。
「スッキリ」は彼等が単独で取り上げられていたのに対し、「ミュージックステーション」は大勢の出演者のうちの一組という違いはあったけれど、過剰に中高生が古い音楽を演奏していることを持ち上げて「歴史の一ページを見ている」などと過剰反応していた「スッキリ」に対し、(言いたいことはあれど)余計なことは何もせず番組を進行していたタモリの方が、「昔を知っている音楽好きな大人の素直な反応」に感じられた。
昔は外国のアーティストが日本のテレビ番組に出演するということ自体が事件だったし、なんとなくものすごく特別なことだったが、少なくとも「洋楽」ということだけで過剰に騒ぎ立てる時代はもう終ったのだということは、はっきり認識することができた。




The Jam - London Traffic
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