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◇猫のいない引越し2014年01月08日 03時20分05秒

 
また引越しをすることになった。
結婚して20数年で6回目。生涯で数えると14回目の引越しである。
うちは転勤族というわけではないのだが、何故だかひとつところに長くいることができない運命のようだ。

今の集合住宅は10年目に入るので、私たちにとっては比較的長くここにいる。
ここのオーナーは大変良い人で、設備が壊れれば常に最新型に変更してくれるし、2週間に一度はきちんと共有スペースの掃除をしてくれるし、ネットも高速に対応してくれるのは早かったし、いたれりつくせりだった。
ペット可物件で、それまでの内緒で飼う緊張感からも開放されていた。
ドアから出たところの景色はとても気に入っていたし、天体観測にも適したとても住みやすい住居だった。
最初は米軍の飛行機の音にうんざりもしたが、10年も住んでいると慣れてしまう(だからといって、歓迎できる騒音ではないが)。

今から25年以上前。
上京して最初に住んだアパートで、3年半前に亡くなったうちの猫は私に保護された。
しかし、当時はペット可物件など皆無だった。
最初のアパートでは、たまたま不動産屋の立会いが入ることを知らずにいて、猫が部屋にいることがバレ、追い出されるような形で更新を拒否された。

それからペット不可物件でもずっと内緒で生活し、結婚するときも一緒に嫁入りした。
引越しが多かったせいもあるが、建物にあまり執着しない猫で、引越し先でも緊張していたのはせいぜい当日で、すぐに新しい環境に慣れる猫だった。
そして、うちの猫は今の住居で23歳の天寿をまっとうした。

思えば、上京してから猫と一緒でない引越しは、最初の学生寮から独立したときと、そこから出た引越しだけ。
それ以外はずっと猫と一緒だったのだ。

私は、年齢とともにアレルギー症状が重くなりつつあり、新たに猫アレルギーが発症するのが怖くて新しい猫を迎えられないでいる。
猫のいない生活には慣れたものの、猫との生活がまったくない家に住むのはあまりにも久しぶりだ。
今の住居には、猫と生活した思い出がたくさんあるし、いざ出るとなるとあちこちに猫の姿が思い浮かんでしまう。
いつも自分がいた部屋を確認してくれと、私を誘導する夢を何度も見る。

引越しがこんなに辛く感じるのは、上京したとき以来だろうか。
押入れを整理していると、昔猫が使っていた古いクッションが何個も出てくる。
猫の姿が目の端に見えてしまうので、なんとなく荷物の整理からも逃避してしまうのは、ただの言い訳かもしれないが。

◇新しい猫を飼わないもう一つのわけ2014年01月08日 04時05分07秒

うちの猫が亡くなってから、早いもので3年半の月日が経つ。
猫のいない生活にも慣れたが、正直な話猫がいないという意識がほとんどなかったような気もする。
もちろん、トイレの掃除やごはんの用意などしなくなったのだが、なんとなくずっと猫は一緒にいたような気もするのだ。

それでも、猫が亡くなったばかりのときは、新しい猫を迎えたいといつも思っていた。
猫が亡くなった次の年に震災があり、被災猫を引き取りたいと考えたりすることもあったのだが、いつも二の足を踏んでしまうのは、亡くなった猫のことを忘れてしまうのが嫌だったのが一番の理由だ。

それでも、いくつかの団体にコンタクトをとったりもしたのだが、なかなか一緒に暮したいと思える猫と出会えなかったりする。
それ以上に二の足を踏ませているのが、里親ボランティアの制度だった。
新しい猫を迎えるなら、ペットショップで売られているようなものではなく、保護された猫を引き取りたいと思っていたので、そういう活動をしている人をお世話になった獣医さんに紹介してもらったのだ。
猫が亡くなって半年くらい過ぎた頃のことだ。

事前に紹介された方の所属される団体のホームページで制度と、現在保護している猫を確認してから連絡をとると、今住んでいる住居が自分のものかどうかと、地元の人間であるかどうか、保証人になれる人がいるかどうかを聞かれた。
賃貸住宅に住んでいるが、オーナーには事前に許可をとっている旨を伝えると、それでも賃貸では難しいようなことを言ってきた。
今までも20年以上猫を飼っていたと話すと、飼いかたなどを詳しく聞かれたので、外に出さずに生活をしていたこと、引越しは多かったが転勤族ではないことなどを伝えると、今度は出身地を聞かれた。
地元の出身ではなく、この周辺には親戚もいないと話すと、なぜそんな寂しい生活をしているのかと執拗に言われる。
私たちに何かあった際の保証人が必要であるということらしかったが、保証人以前に私たちが地元の人間でないことが気に入らない様子だった。

獣医さんに紹介していただいたときに、私がマンションに住んでいること、地元の人間ではないことなどを先方に伝えてもらっていたし、長く一緒に住んだ猫を亡くしたばかりなので、自分にあった猫と出会いたいと思っていることを伝えたが、それもその人には否定されてしまった。

彼女が言うには、自分は昔からここに住んでいて、猫を保護しているので常に10匹ほど猫と生活している。
あなたは猫が好きなら、なぜ今まで一匹しか飼っていなかったのか。
今までも保護猫と会っているのなら、何故引き取るようなことをしなかったのか。
近くに親戚がいないのなら、猫好きな友人にでも保証人になってもらえばいいじゃない。
地元の人じゃないから、そういう人もいないのかしら...

地元の人間でなければだめなら、最初からそう言えばいいことだ。
地元民でないことが、まるでだめな人間であるような言い方をされ、さすがにブチ切れてしまったのだ。

猫を保護する活動をしているのは立派だと思う。
里親制度を利用する人が、猫の命を粗末にするような人に猫が渡らないよう、気を配っていることも知っていた。
保証人が必要であることも、そういう制度であるならしかたないだろう。
しかし、地元出身者でないとか、近くに親戚がいないことなど、関係があるのだろうか。
猫を引き取ることで、ある程度のプライバシーを公開することに異論はないが、選民意識を丸出しにして差別的な意識で人と接するなら、保護した全ての猫を全部自分で面倒を見ればいいだろうとさえ思った。
保証人というのも、年齢が高齢であるとか、一人暮しであるとかなら理解できるが、猫を引き取ることで親戚縁者に迷惑がかかることがあるのであれば、引き取る側も躊躇してしまうのでないか。
保護している人は、一人でも里親を増やしたいと思っているはずなのに、なぜそこまで選民されなければならなかったのか疑問が残る。

また、里親制度では引き取る側がある程度のプライバシーをボランティアの人たちに公開するのだが、その管理体制にも疑問があるのだ。
プライバシーを預けるのであれば、それだけの知識が必要だと思うのだが、その旨の質問をするとその手の知識がまったくなく、自分はパソコンなどにうといからという言い訳をされ、挙句は「なぜ、そんなにボランティアをいじめるのだ」と逆切れされてしまった。

動物保護のボランティアをしている団体や個人、全てがこんなではないのだろうと思いたい。
たまたま出会った相手が悪かったのだろうと思いたい。
だが、猫に出会う前に人と出会わなければ猫と出会えないことや、その人間の考え方に同意しなければ猫を引き取ることさえできないというのが、非常に煩わしいと思ってしまったのだ。

関東にいたら、地方出身者であることで、差別されることなどよくあることだ。
10年ここに住んでいるが、地元民というのはいったい何年から地元民になるのだろうか。
一生賃貸暮らしで近くに親戚がいなければ、地元民にはなれないのだろうか。
このような形で差別されることは我慢ならない。

まして、引き取った猫の様子を報告するために、長い付き合いになる可能性があるのだから、引き取るのであれば気持ちよく引き取りたいと思うのは、ボランティアをしている側から見るとおかしいことなのだうろか。

そんなことがあって、結局新しい猫を飼えないでいるうち、アレルギーの危険性などが出てきて、そのままになっているのだった。
アレルギーがでてしまうと、やはり責任をまっとうできないだろうから、やはりこれで良かったのかもしれないと、自分に言い聞かせたりもしているのだ。



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