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◇夜匂う2012年06月06日 00時24分00秒

夏みかんの花
 
去年の秋から、夜に散歩にでかけている。
もともとは健康のために歩きましょうという目的だったが、歩いてみると意外な発見があったり、なかなか楽しい。
冬場は星がよく見えるので、スマートフォンの天体マップなどで星座を調べながら歩いたりした。
しかし、2月に入りさすがに寒くて休みがちになり、3月4月は花粉が怖く、再開したのは5月に入ってからのことだった。

新緑の季節になると、さすがに星座を眺めながらという感じではないが、5月の夜は空気がいろいろな匂いを含んでいる。
マンションの建物を出ると、最初に感じるのは栗の花の匂いだ。
私はこの匂いがあまり得意ではないのだが、つくばにいた頃、マンションの真向かいの空き地に大きな栗の木があり、新緑の季節には一番に匂ってきていた。
この匂いをかぐと、春でも夏でもない、梅雨前の不安定な季節なのだなと思う。
草花が知らないうちにもそもそと成長し、いつのまにか植物に囲まれているような、そんなちょっとあやしいエネルギーを感じるのがこの季節だ。

しばらく歩くと、そこいらじゅうにみかんの花が匂ってくる。
ここいらへんは、庭にみかんやゆずなどのかんきつ類を植えているお宅も多く、住宅地の中でまだ畑を残しているところなどでは、大きな夏みかんの木が毎年たくさんの実をつける。
「みかんの花咲く丘」という歌があるが、北海道にいた頃は実際にみかんの花がどんなものなのかも知らずに、この歌をうたっていた。
この花が咲いている間は、風にのって昼でもあちこちから匂ってきていた。

この季節は、空気が湿気を帯びているので、“香る”というよりは“匂う”と言った方がしっくりくる感じがする。湿気と共にねっとりと匂う。
毎日過ごしている町だけど、季節や時間帯で、さまざまな顔を見せてくれて面白い。



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