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◇二風谷アイヌ文化博物館2006年07月04日 23時13分58秒

二風谷アイヌ文化博物館で出会った猫

二風谷アイヌ文化博物館で出会った猫

 


二風谷工芸センターでもらった、
二風谷アイヌ文化博物館周辺マップ
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ソフトクリーム

2006年6月27日、帯広から日高方面に日帰り旅行に行った。

今回の目的は、平取町二風谷にあるアイヌ民族の博物館に行くことだ。二風谷にはアイヌ文化博物館をはじめ、アイヌ語の第一人者でアイヌ民族で初めて国会議員になった萱野茂さんの資料館、アイヌ民族の文化に深く関わってきた沙流川歴史館、スコットランドの医師で、アイヌの研究に尽力したマンロー博士の記念館などがある。

帯広の実家から国道38号線を抜け、日勝峠を抜ける。天気はあいにくの雨で、底冷えのする小雨が降り続く。峠に近くなると、雨は霧に変わり、数メートル先が見えない。
 私の知っている日勝峠は、道が狭く下手をすると崖から落ちそうな道だったが、さすがに20数年前から比べると道はずっとよくなっており、霧でもゆっくり走れば怖いことはない。
日勝峠を抜けるとにわかに晴れてきて、山の緑がまぶしい。途中ドライブインに寄り、ソフトクリームを買うのは旅のお約束。同行した母は夕張メロン味、私はミルク味を食べた。濃厚で大変美味しい。

道に沿って沙流川の清冽な流れがあり、中流のダムまでは高原の景色が美しい。
山を下るにつれまた天気が悪くなってきた。
 信号がほとんどなく、途中日高町の商店街に入るまではほとんどノンストップで入ることができる。スピードがだせないだけで、高速道路など無意味だとしみじみ思う。

国道237号線に入り、沙流川に沿って南下していくと、アイヌの工芸品などを販売するお店がちらほら目につくようになる。帯広の自宅から2時間ちょっとで、平取町二風谷に到着した。

駐車場に車を入れると、二風谷工芸センターの前にひとだかりがあり、学生風の人たちが猫をかまっている。どうやらここのマスコットらしい。
 工芸センターでは、アイヌ民族の工芸品の体験をすることができる。入口付近では最近製作されたらしいみごとな工芸品が陳列されており、奥の部屋では観光客が木彫りのアイヌ紋様彫りの体験をしていた。
 受付の女性に「ムックリを売っているところはどこでしょうか」と尋ねると、「ここいらのムックリはみんな阿寒からきているものなんですよ。二風谷ではムックリ作る人が少なくなっていてねぇ」と話しながら、近辺の民芸品店の説明をしてくれた。
 ムックリは我が家に数本あるが、その全ては阿寒のムックリ製作者「鈴木紀美代さん」のものである。今回の旅行で展示のチセ(アイヌの人たちの住宅)の前でムックリでも演奏し気分にひたろうと思っていたのだが、うっかりして口琴を持ってくるのを忘れたのだ。
 せっかくの旅の思い出に二風谷産のムックリを購入したかったが、阿寒産しかないと言われちょっと残念に思う。

教えてもらったお店の中から手短かな民芸店に入り、「ムックリありますか?」と尋ねると店頭にあるムックリを見せてくれたが、どれも弁ががたがたで品物が良くない。一本一本吟味する私に、お店のおばさんは「ムックリなんてどれも同じだよ」と言い放った。その言葉に、アイヌ文化を伝える気持ちが感じられず、がっかりしてその店を後にした。

 

二風谷アイヌ文化博物館

気を取り直してアイヌ文化博物館に行く。
 思ったより小さい博物館だが、博物館のわきには何棟かのチセもあり、イベントの時などはこのチセの中でアイヌの伝統儀式を見ることができるらしい。残念ながら、この日は何もイベントがないようで、チセの扉は鍵がかけられてた。
 受付を抜けると、「伝承サロン」というステージがあり二風谷のアイヌの歴史を綴ったビデオが放映されている。展示室は、「アイヌ<人々の暮らし>」「カムイ<神々のロマン>」「モシリ<大地のめぐみ>」の三つのスペースに分かれており、アイヌ語を簡単に学べる音声機などアイヌの文化を解りやすく展示されている。

興味深かったのは、アイヌの暮らしを記した文献などの写真やイラストを大きく展示してあることだ。
 アイヌの口琴ムックリは、女性の楽器である。女性が愛の意思表示をする時に使用されたロマンチックな楽器である。写真におさめられているのは、何かの儀式の時のものらしいが、口の周囲に入れ墨をほどこしているのがアイヌ女性の特徴でもある。
 一番右のイラストには、左上にムックリについての説明が簡単に書かれており、左下のイラストの横にムックリの演奏方法が説明されている。

   
二風谷アイヌ文化博物館に展示されている、ムックリ関連の画像
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重要有形民俗文化財指定のムックリ
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宝石のように展示されるマキリ
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アイヌゾーンには、ふだんの生活に必要な民具や彫り物、コタン(村・部落)ごとに異なるというアイヌ紋様の刺繍がほどこされた服などが飾られている。その中に、国の重要有形民俗文化財指定のムックリが展示されていた。今のムックリと違い、比較的細身に作られている。
 以前、横浜でマンロー展が行われた時にも展示されていたが、マンロー展に展示されていたものの方が細身で小さかった。演奏時に本体を固定するための糸(ムックリの本体にある糸)もマンロー展のものは存在していなかったが、重要有形民俗文化財のムックリは、この糸が存在している。よく見ると、糸は後からつけられたもののようで、新しいものだ。現在のムックリは本体を固定する糸があるので、糸をつけかえる時に現代のものに近い形にしてしまったのだろうか。それとも、糸のあるものとないものが存在するのだろうか。

アイヌの生活用品には、日本のそれととても近いものがたくさんある。食器を収納する「シントコ」はお雛様のお道具にも見られるものだし、小刀「マキリ」は北海道の一部で同じ呼び名が一般的に使われている。
 特に、マキリは狩猟民族であるアイヌの道具としては大変重要なもののようで、美しい彫刻を施したマキリがまるで宝石のディスプレイのように展示されているのが印象的だった。

博物館の受付の人に先程行った民芸店での対応を話し、「鳴るムックリを売っている店を知らないか」と尋ねると、「だったら、北の工房つとむに行ってみるといいですよ。私の名前を出して紹介されたと言えば、きっと良いムックリを見てくれますよ」と教えてくれた。さっそく「北の工房つとむ」へ行き、「博物館のKさんの紹介で来たのですが、鳴るムックリがほしいのですが」と話すと、お店にあるムックリを全てだしてきてくれ、「自由に音を試すといいよ」と言って、弁のけずりなどを一緒に見てくれた。
 ここでは、ムックリの製作体験などもやっているようだが、「実際にお店で売っているのは、阿寒のものなんだよ。二風谷のアイヌもだんだんと数が少なくなってきて、私くらいの人間が若手と言われるんだよ」と、私より幾分年上かと思われるお店のご主人は話してくれた。
 いくつか音をためさせてもらい、良く音のなるムックリを2本購入した。「製作体験があるということは、削る前のムックリもあるんですか?」と尋ねると、それも分けていただけるとのこと。体験工房の方で、竹の具合のよさそうな、調整前のムックリを2本選んで購入した。製品になっているのは500円、削る前のは350円だった。

「北の工房つとむ」のご主人と奥さんと20分ほど話をして博物館に戻ると、博物館の扉の前に観光客にかまわれていた猫が座っていた。中で両親を待たせていたので、扉をあけて中に入ろうとするとついてこようとする。ちょっと追い払って中に入り、両親と共に再び外に出ると、猫は私達を待っていたようについてくる。博物館前のチセを見学していると、自分がさも案内係のようにずっと同行してくるのだ。
チセの前での記念写真でも一緒に写っている。

 
チセを案内する猫
 
記念写真も一緒に
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二風谷アイヌ文化博物館HP
http://www.ainu-museum-nibutani.org/html/haku0N.htm

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