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◇新横浜ラーメン博物館2011年03月07日 00時51分54秒


新横浜にあるラーメン博物館には、定期的に足を運んでいる。
ラーメンが好きというのもあるが、この博物館の目玉のひとつである「昭和30年代の街並み」の雰囲気が好きなのだ。
ここでは昭和30年代となっているが、昭和40年代の地方都市の街並みもだいたいこんな雰囲気だった。

2歳~3歳当時、帯広市の大通りにあった弧線橋の近くに住んでいたので、たまに母に連れられて歩いて街に行くことがあった。
夕暮れ時の帯広駅前の北側の、当時駅前のシンボル的建物だった十勝バスの本社ビルのあたりは、なんとなくこういう雰囲気があったように記憶している。
子供の頃のことなので記憶に錯綜があるかもしれないが、最初のここに来たときにそう感じたのだ。

ここは日本全国の特徴のあるラーメンを、ひとつの場所で楽しめるというところだか、オープン当時とは少し仕様がかわっている。
当時は「ラーメン博物館」の名前に恥じないくらいの展示があり、日本のラーメンの歴史を、現在の一階の売店がある場所で観ることができた。
発売当初のチキンラーメンや、チャルメラなども展示されていた。
地下のレストラン街も、ラーメン店以外に駄菓子屋や、焼き鳥屋、カフェなどもあり、人ごみに疲れた中で、ちょっとラーメンから離れる空間もちゃんと確保されていた。

しかし、ある時期からそのような空間がなくなってしまい、中央広場に露店などが出てお酒や軽食はそちらで食べるようになった。
ここは一番ラーメン店が集中してるところで、あちこちで行列ができている雑踏の中にずっといることになり、ちょっとゆっくりという雰囲気ではない。
人ごみが嫌いな人には、かなりきつい場所だ。

かといって一度外に出てしまうと、せっかくの雰囲気が興ざめしてしまう。
ここにいる間は、十分に昔の日本の雰囲気の中にいたいと思ってしまう。

新オープンのカフェスナックの看板
新オープンのカフェの看板。
ソフトクリームは濃厚ミルク味でおいしかった。

ここにカフェがなくなって久しかったのが、今日行ってみると「本日オープン」という喫茶&スナックが、交番横に登場していた。
中に入ると、赤い電球色の照明に、赤いソファで、昔のスナックの雰囲気。
女給さんも和服でいい雰囲気だ。

メニューにはカクテルなどのアルコールもあるが、看板にもなっている北海道濃厚ミルクのソフトクリームと、コーヒーが嬉しい。
この日は、ラーメン好きのドイツ在住友人夫妻と一緒だったので、特に「食後には甘いもの」は必須だ。

さっそくソフトクリームとコーヒーを注文する。
コーヒーにはクッキーが一枚づつついていて、コーヒースプーンは桜の形だった。

ところで、同行の友人夫妻の旦那様はドイツの方だが、彼の目から見ると、昭和30年代の雰囲気を表現したこの街並みは、今の日本もあまり変わらないように見えるらしい。
確かに今でも、建物自体は小さくこまごましていて、神奈川の住宅地では細い路地が多いし、終戦後の昭和の古い住宅も未だ健在で残っている。
街並みの全体像をあまり考慮せずに街を作っているので、いろいろなタイプの建物がひしめいているし、表側に生活臭のある商店もめずらしくはない。
横浜の伊勢崎町付近の繁華街は、今でもこんな雰囲気のある街並みだったりもする。

私たちからすると、特徴的なそば屋ののれんや、病院のドア、飲み屋街の路地の看板の雰囲気など、ポイントポイントで雰囲気を楽しめるが、そういうポイントがない人には、今も昔もあまり変化を感じられないのかもしれないと思う。

ごみごみしたお客さんの中からは、中国語や韓国語など、外国からの観光客とおぼしき人の声も聞こえてくる。
ドイツ人の友人の感じたことと、日本の昔をいろいろな形で知識として知っているであろう近隣諸国の観光客の感じたことが、同じなのか違うのか。

ラーメン博物館の駅長さん
この日の博物館内は、昭和33年3月6日であった。
写真は体感ゾーン入り口にある駅の駅長さん。


それ以前に、高度成長期の入り口である昭和30年代の街並みの中で、まだまだ生活に不安があったであろう戦後の日本人と、ここにも戻れず先にもいけない今の私たち日本人は、やっぱりそんなにかわらないのか、もしかしたらもっと複雑な袋小路に押し込まれているのではないかと思ってしまった。

家に戻ってテレビを見ていると、前の日までは「職務まっとう」と言っていた外務大臣が、数万円の不正な政治資金のために辞任したというニュースが流れてきて、なんだかこのとき感じた袋小路がさらに現実味を帯びてきたような気がしてならなかった。





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